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日本企業で「管理職」が名誉職になっている大問題 本来の仕事が果たせない原因にもなっている

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 16時0分

つまり、経営者は社会のニーズとビジネスの接点を、マネジャーは事業の仕組みや組織の内部構造を、そしてプレイヤーはもっとも解像度の高い現場(製造現場や顧客の反応)を見ている、ということになります。

これを私は、「経営の三層構造」といっています。この「経営の三層構造」をわかりやすく説明するため、スポーツカーという商品を扱う会社を例に挙げてみましょう。

まず、スポーツカーの社会貢献とは、顧客が「スポーティーに、楽しく走れる」こと。これが経営者の視点となります。さらに、自動車の基本性能が、スポーツカーにふさわしい形で実現できるように調整する。これがマネジャーの視点です。

そして、コーナーでのグリップやパワフルな加速など、それぞれのタスクレベルでスポーツカーの特性を実現する。これがプレイヤーの視点です。

この構造はどの職種においても変わりません。経営層が自社のビジネスを俯瞰して考える一方で、現場のプレイヤー層は自分の担当する製品やサービスの機能向上に集中しているため、どうしても俯瞰的な思考をする余裕を持ちづらくなります。

その経営層とプレイヤー層のつなぎ目となる部分で、双方の視点を持ち、その都度視点を切り替えながら、通訳のようにコミュニケーションして、事業を運用する。これこそがマネジャーの仕事の本質といえるでしょう。

企業を左右する中間層

つまり、「経営の三層構造」の真ん中に位置する、マネジャー層が優秀であるか否かによって、その事業やプロジェクトの結果が如実に変わるということです。

ただ、残念ながら、その会社ならではのマネジメントをどうしていくか、その教科書がない状態に加え、先にも述べたように「名誉職」としてマネジャーが使われる場合もよく見られるのが、今の日本の現状です。

本来、マネジャーは「ジョブ」なのに、それを名誉として与えてしまうが故に不幸が起きてしまう。このように、企業においては、マネジャー層がボトルネックになりやすい、ということなのです。

経営層の視点を理解しつつ、現場の論理や、そこで働く人たちの「思い」も踏まえながら、最終的には自社が社会貢献を果たせるように指示したり、導いたりできる人が、多くの日本企業では圧倒的に少ない現状があります。

それゆえに、多くの日本企業はグローバルで見ると生産性が低く、企業価値が上がらない状態がここまで長く続いたと見ることもできるでしょう。

かつて僕が勤めた日本マイクロソフトでは、マネジャーを対象としたトレーニングがかなり充実していました。また、特徴的なのは、マネジャーはチームメンバーから、その適性を点数でシビアに評価されることでした。点数が低ければ、マネジャーから外される場合もありました。あるいは、人数のバランスを考慮してマネジャー職を解かれる人もいました。

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