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ロシアにとって北朝鮮との協力には魅力がない ロシア出身の北朝鮮専門家が語るロ朝関係のリアル

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 7時30分

――ロシアと北朝鮮との経済関係が拡大しているとの指摘もあります。

実はこの2国間で、一般的な貿易が活発化する可能性はほとんどないと思います。まず、これまでの北朝鮮とロシア(ソ連)との経済交流を振り返ってみると、ロシア側が国家予算を使って経済交流を後押しした場合にのみ、2国間の貿易規模が拡大しているという歴史があります。

基本的な理由もあります。北朝鮮が国際市場で販売できる品目のうち、ロシアが関心を持つような品目はほとんどありません。北朝鮮は石炭や鉄鉱石など天然資源を持っていますが、これら品目はロシアがより豊富に持っているものです。海産物などもそうです。

たった一つ、ロシアが大きな関心を持っている品目があります。北朝鮮の労働力です。これまでもロシア領内で多くの北朝鮮労働者が働いてきました。ウクライナ戦争も続いており、ロシアはより多くの労働力を必要としています。

ロシアにとって需要があるのは人材です。だからこそ、北朝鮮の労働力は魅力的です。賃金はロシア人より安くて済むし、過度な要求もしない。北朝鮮という国家が間に入るので、ストライキといった面倒なことは起きません。労働者のロシアへの派遣が今後、活発化する可能性は高いと思います。

しかし、ロシア政府が北朝鮮との交流拡大のために支援するかどうかは未知数です。現時点では、ロシア政府にそのような意思があるように見えません。ロシアにとって北朝鮮は、戦略的な価値がそれほど高くないためです。

北朝鮮が持つ戦略的価値は中国にメリット

――ウクライナ戦争が勃発し世界が多極化する兆しがはっきりとしてきた中で、それでも北朝鮮とロシア、中国の3カ国が連帯を強めているように思えます。

中国にとって北朝鮮は、ロシアよりもはるかに戦略的価値が高い国です。北朝鮮が朝鮮半島での緩衝地帯という地政学的な意味もある。北朝鮮の輸出品目には、石炭など中国で需要がありよく売れる品目が少なくありません。中国経済の力からすれば、北朝鮮を支援するにしてもその負担はとても小さくメリットが大きいと言えます。

東アジアのこれら3カ国にとって、核となるのはやはり中国です。ロシアと北朝鮮との関係よりは、今こそ関心が高まっていますが、中朝関係ほどは重要にはならないでしょう。

――これら3カ国には「反米」的という共通項はありますが、今後も連帯は深まるでしょうか。

実は、この3カ国関係はとても深刻な問題を抱えています。例えばGDPで見ると、中国・ロシア・北朝鮮は600:50:1になります。経済的にはあまりにも不平等な関係です。

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