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「ブギウギ」が傑作になるかカギを握る"登場人物" レジェンド「おしん」を超えるためのポイント

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 10時0分

福来スズ子(趣里、写真左)と、茨田りつ子(菊地凛子、写真右)(画像:連続テレビ小説「ブギウギ」NHK公式サイトより)

2024年の年明け、“朝ドラ”こと連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)では、伝説の歌手・李香蘭の『夜来香ラプソディ』、笠置シヅ子の幻の軍歌『大空の弟』、淡谷のり子のヒット曲『別れのブルース』が立て続けに歌われた。とても満足度の高い構成で、音楽と物語がみごとに融合した昭和歌謡ドラマとしての、堂々たる風格を感じさせるものだった。

史実のいいところとオリジナルをミックス

『大空の弟』を切々と歌ったヒロイン・福来スズ子(趣里)のモデルは、昭和の大スター歌手・笠置シヅ子である。“ブギの女王”として、歌って踊って大活躍した。上海で李香蘭(昆夏美)に『夜来香ラプソディ』を歌わせた作曲家・羽鳥善一(草彅剛)のモデルは、数々のヒット曲を生み出した音楽家・服部良一だ。

特攻隊員たちの最期のリクエストに応えて『別れのブルース』を歌った茨田りつ子(菊地凛子)のモデルは、ブルースの女王の異名を持つ淡谷のり子。それぞれモデルの史実のいいとこどりをしながら、オリジナル部分をうまく混ぜ合わせた『ブギウギ』は昭和歌謡の歴史ドラマとしても楽しめる。

半年の放送期間のうちの前半が終了し折り返しに入った『ブギウギ』の、前半を振り返りつつ、このドラマが朝ドラ屈指の名作になりえるか、朝ドラに関する書籍を2冊出すほど朝ドラ研究に余念のない筆者が思いを馳せてみよう。

『ブギウギ』のヒロイン・福来スズ子は大阪、下町の小さな銭湯ですくすく育った、歌や踊りが大好きな少女だった。道頓堀に新しくできた歌劇団・梅丸少女歌劇団に入団し、切磋琢磨し活躍した後、上京し、人気作曲家・羽鳥善一と出会い、歌手の道を歩みだした。

躍動感あふれる『ラッパと娘』がヒットするも、戦争がはじまると、スズ子や羽鳥のやっている音楽は敵性音楽として取り締まられ、活動がしだいに限られていく。尊敬する人物でありライバルでもある茨田りつ子も然り。それでもスズ子たちは自分たちの音楽を諦めず、時代に抗っていく。

戦争が激化し、先の見えない最も暗い時期、羽鳥は上海の音楽会で、中国人作曲家・黎錦光(浩歌)の名曲『夜来香』に、アメリカのブギのリズムを取り入れ『夜来香ラプソディ』としてアレンジ、李香蘭がそれを歌う。この曲は羽鳥なりの抵抗であり、中国、日本、アメリカが音楽で国の違いを超えて混ざり合うという理想の実現化であった。

スズ子は『大空の弟』を歌い、戦争で夫を亡くした女性の心に寄り添った。『大空の弟』は、スズ子の弟・六郎(黒崎煌代)が南方で戦死した哀しみを歌に託したものである。一方、茨田は、鹿児島の海軍で、『別れのブルース』を聞きながら満足したように特攻に出ていく若者たちの姿に滂沱の涙を流した。

笠置シヅ子を主役にする意味

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