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中国の「自動運転デバイス」メーカーが香港に上場 知行科技、中国EV市場の拡大を追い風に急成長

東洋経済オンライン / 2024年1月12日 15時30分

知行科技は自動運転システムのドメイン・コントローラーで高い市場シェアを持つ(写真は同社ウェブサイトより)

自動運転システム向けのデバイス開発などを手がける中国の知行科技(アイモーション)が2023年12月20日、香港証券取引所に上場を果たした。

【写真】知行科技はモービルアイとの提携をテコに、民営自動車大手の吉利控股集団の信認を得た。写真は同社製のドメイン・コントローラー

同社は2016年末に創業し、主力事業は自動運転システムの(データ処理デバイスの一種である)ドメイン・コントローラー、スマート機能を内蔵したフロントビューカメラ、自動運転関連の受託開発サービスなどだ。

市場調査会社のフロスト&サリバンのデータによれば、知行科技は中国のドメイン・コントローラー市場で2022年に26.2%のシェアを獲得し、メーカー別のランキングで第2位となっている。

今回のIPO(新規株式公開)の公募価格は1株当たり29.65香港ドル(約542円)。知行科技は2211万株を売り出し、総額5億9600万香港ドル(約109億円)を調達した。

上場初日の終値は公募割れ

IPOの目論見書によれば、同社は調達資金の45%を自動運転システムのソリューションやデバイスの開発に、35%を研究開発センターや新工場の建設に、20%を運転資金などの一般用途に投じる計画だ。

知行科技の業績は、中国のEV(電気自動車)市場の急拡大を追い風に成長をしてきた。目論見書で開示された過去3年間の決算によれば、売上高は2020年の4765万元(約9億5000万円)から2022年には13億2600万元(約265億円)に増加。損益はまだ赤字だが、2022年の純損失は前年の4億6400万元(約93億円)から3億4200万元(約68億円)に縮小した。

とはいえ、IPOの値付けは強気過ぎたかもしれない。同社株の上場初日の終値は25.85香港ドル(約473円)と、公募価格を13%近く下回って引けた。

知行科技が成長のチャンスをつかんだきっかけは、2018年3月、自動運転システムの開発で先行していたイスラエルの「モービルアイ」と戦略提携したことだ。同社はモービルアイの先進運転支援システム(ADAS)のソリューション開発に参画し、技術やノウハウを蓄積した。

モービルアイの高い技術力を後ろ盾にして、知行科技は中国の民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)が設立した高級EVブランド「極氪(ジーカー)」のサプライヤーに選ばれる。そして2021年10月から、極氪の第1号モデル「極氪001」向けにモービルアイのADASの供給を開始した。

売上高の9割超が吉利向け

同社は(モービルアイとの協業と同時に)独自製品の開発にも注力し、2020年には低価格ADASの「iFCシリーズ」を発売。2023年1月には独自開発のドメイン・コントローラー「iDCシリーズ」の量産を開始し、極氪向けに供給している。

こうした経緯から、過去数年間の知行科技の最大顧客は一貫して(極氪の親会社である)吉利控股集団となっている。IPOの目論見書によれば、2023年上半期(1〜6月)の売上高に占める吉利控股集団の比率は95%に上った。

(財新記者:劉沛林、趙薇)
※原文の配信は2023年12月20日

財新 Biz&Tech

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