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「健康診断の数値」を気にする50代が失うもの 一昔前の医学の常識を信じているかもしれない

東洋経済オンライン / 2024年1月14日 17時0分

「塩分は控えなさい」「脂っこいものはダメ」「甘いものもダメ」「お酒はほどほどに」「運動を心がけましょう」……並べて言われるとだんだん気持ちが沈んできます。お酒が好きで肉料理も好き、飲んだ後のラーメンが楽しみという人にとっては、これでは張り合いのない毎日になってしまいます。

そして医者はとどめのひと言を告げます。

「1か月後にまた検査しましょう。正常値に戻っているといいですね」

おまけに血圧手帳を渡されますから、これからの1カ月間、血圧計をにらみながら好きな食べ物を我慢することになります。健診と聞いただけで憂鬱になるのも無理はありません。

なぜ「健診の数値は気にしなくていい」のか

わたしは高齢者向けの本を何冊か書いてきましたが、そのすべてに「健診の数値は気にしなくていい」と書いてきました。ほんとうは「受けなくていい」と断言したいのですが、職場の健診というのはそうもいきません。50代には言いにくいのです。

でもここはあえて言っておきましょう。

たとえ健診を受けて数値の異常があれこれ見つかっても、気にしないことです。実際に体調の悪さやいつもと違う異常を感じているというのでしたら別ですが、気分もいいし食欲もやる気も十分というのでしたら、いまがベストなのですから何も気にすることはありません。

その理由を簡単に説明してみます。

血圧と並んで健診の数値で気になる(引っ掛かりやすい)のが血糖値です。例のヘモグロビンAIc(エーワンシー)で示される数値が6・0を超えると糖尿病の予備軍となります。この時点でウンザリするほどの食事制限を受けるのは言うまでもありません。

つまり一度でも健診の数値が引っ掛かってしまうと、長い期間、食事内容を制限され、薬を飲まされ、定期的に検査を受け続けることになります。数値が異常というだけでいきなり病気が見つかったり入院治療ということはありませんが、ふだんの生活が健診の数値でものすごく不自由になってくるのです。

では何のために医学は数値の異常に介入してくるのでしょうか。言うまでもなく、数値を正常に戻すためです。正常に戻せば、病気のリスクが減ると信じられているからです。

ところが、それを真っ向から否定するデータがあります。

アメリカの国立衛生研究所の下部組織がこんな研究を行なっています。糖尿病患者1万人を2つのグループに分けて1つは標準療法、もう1つのグループには強化療法を試みます。「強化療法群」はヘモグロビンAlcを正常値の6・0%以下に抑え、「標準療法群」は7%~7・9%に抑える緩めの療法です。

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