1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

職場をクビ→43歳でシェフになった女性のその後 未経験ながら香港でレストランを開いたら…

東洋経済オンライン / 2024年1月15日 12時0分

夫はこう言ってくれました。「君は商売じゃなくて料理が好きなんでしょう?君は凄いシェフだけど商売は苦手だ。レストランをあと6カ月続けられるだけのお金はあるんだから、君がハッピーになれることをやったらどう?」。

私の料理を食べた人は皆、「才能あるよ」と褒めてくれていましたが、私にはまだ料理の腕前には自信がありませんでした。プロとしてのトレーニングを受けたことがなかったからです。

厨房はスーパーマンの電話ボックスと同じ

厨房は私が集中と尊厳を取り戻せる唯一の場所です。厨房は私だけの変身ゾーンなのです。私はそこに入るたびに違う人間になったように感じます。スーパーマンにとっての電話ボックスのようなものです。

自分の欠点に向き合わなければなりません。私は厨房以外のあらゆる場所ではADHDなのです。

私は自分の料理の才能を信じようと決心し、質の低いファストフードを作るのをやめました。利益を寄付するというアイディアも捨て(そもそも一文も稼いでいませんでした)、店名を「51ファーム」から「チョイチョイキッチン」に変えました。

自分がやりたいことに邁進した途端、商売も上向きになりました。また、とても幸運なことに、多くの有名シェフの方に私のレストランに来ていただきました。彼らは親切にも料理の秘密を教えてくれたのです。

中国料理には「鹵水(ローソイ)」と呼ぶ醤油や中華スパイスなどを混ぜた有名な調味液があり、これは肉などを漬けるのに使われます。あるシェフは彼のレストランで使っている鹵水の秘伝レシピ、そして、なんとタレの一部を譲ってくれたのです(鹵水は継ぎ足して使われることが多く、レシピとタレの一部を譲るというのはビジネスの秘密を教えてくれるのと同様とも言えます)。

私の料理の腕が上がっていくにつれ、香港の主要メディアの多くが取材に訪れるようになりました。例えば、私のスペシャリティである「鶏の中華風煮込み」は、香港で最も人気のあるフードマガジンの表紙を飾りました。

2015年には香港の英字紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』で、「香港で5本の指に入る隠れ家プライベートキッチン」と書いていただきました。CNNで「香港でトップ10に入るプライベートキッチン」と評価されたこともあります。

女王だけれど、「王」ではない

日本のBS-TBSも香港に来て、店の中で私にインタビューをしました。

ある有力雑誌も、私のことを「プライベートキッチンの女王」と呼びました。

しかし、女王は「王」ではありません。

私は香港で最も人気のある番組にゲストシェフとして出演しました。私は25話中で唯一の女性シェフという名誉を得たものの、他の男性シェフたちが「セレブリティシェフ」と呼ばれる一方、私の肩書は「プライベートキッチンのオーナー」でした。

男性優位の職業では、女性には地位がまったくありません。地位がある女性がいると、一部の男性によって排除されてしまいます。彼らはその女性のことを影で悪く言うのです。

もちろん、全ての男性シェフがそこまで酷いわけではありませんが、女性の心の中にはつねにある種の不快感があります。

こうした中、私は日本の食材を使って中華料理を作る研究に没頭していくのです。それについてはまた今度お話ししましょう。

グレース・チョイ:ChoyChoy Kitchenシェフ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください