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能登半島地震、支援者が語る「現場対応」の難しさ 孤立続き、アクセスも困難。依然深刻な地域も

東洋経済オンライン / 2024年1月15日 17時0分

この中学校の避難所は在宅被災者の皆さんともコミュニケーションを取っていました。

疲弊しているスタッフも見受けられ、被災した住民と力を合わせて対応していました。ここでは在宅被災者も含めて分け隔てなくニーズを聞き取り、限られた食料を分配していました。

高齢者だけでの自主運営の事例も

――ほかの場所ではどうでしたか。

この中学校の避難所まで通うことのできない人たちのコミュニティーがあるのではと考え、海沿いの道を南下し、地区の公民館的な役割を持つ施設にたどり着きました。

ここは在宅の人たちが集まる場所になっていました。自宅の片付けをしつつ、暖を取りたい被災者15~16人が集まり、高齢者だけで自主運営していました。衛生用品がかなり不足している印象で、支援物資の衛生用品を届けてきました。

――情報発信や情報共有はできているのでしょうか。

七尾市のように比較的交通の便が良い場所では、支援物資も集まるようになってきているようです。珠洲市内でも大規模避難所には食料は潤沢にありました。仮設トイレの設置も進み、水洗トイレも一部にはありました。

他方、市街地から離れた地区にある避難所は事情が異なります。情報発信や避難所同士の連絡、情報共有がはうまくできていないため、物資の偏りがみられました。

――大谷さんたちのチームは、どのように受けとめられましたか。

今回、みなし避難所と呼ばれる場所も訪問しました。これは被災者宅での自主運営の避難所です。日中に訪れた時は人が少なかったので、近隣を回り、自宅を修繕している人を見つけて何人かに声をかけたのですが、ものすごく警戒されました。

ボランティアが入っていないために、その存在自体が知られていないのです。私たちが支援に当たっていることを説明し、簡易トイレなどの支援物資をお渡ししたところ、たいへん喜ばれました。

SNSなどでは迷惑ボランティアがたくさん来ているといった情報が拡散されています。そのため、私たちのような支援者が行っても、どのように接したらいいかわからない人が多いのが実情です。

厳しい道路事情、二次災害の危険も

――道路事情や安全上の留意点について教えてください。

珠洲市につながる道路は大渋滞が起きていて、市内に入ることすら難しいのが実情です。雪も降っており、装備が不十分だとトラブルに見舞われる可能性も少なくありません。相次ぐ余震や降雨・降雪で地盤が緩み、地滑りなどの二次災害も懸念されます。道路上には落石がごろごろしています。

――今後の支援活動の見通しや課題は。

珠洲市は道路事情が悪く、斜面の崩落など危険な場所が多い。仮設トイレの設置もまだ一部にとどまります。そのため、災害ボランティアセンターを開設したものの、現時点ではボランティアを受け入れることができていません。

今後は、被災の少ない周辺の都市からのボランティアバスの定期的な運行の仕組みづくり、避難所間の連携のためのコーディネート、在宅被災者も等しく支援が受けられ、誰一人取り残さないための活動の実践が望まれます。

岡田 広行:東洋経済 解説部コラムニスト

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