ファーウェイ、米制裁下で「2年連続増収」の執念 「Mate 60シリーズ」人気でスマホ事業が復活
東洋経済オンライン / 2024年1月18日 15時0分
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の業績が、アメリカ政府の制裁下にもかかわらず着実な回復を見せている。
【写真】ファーウェイはアメリカ政府の制裁をかいくぐり、自社設計の高性能半導体を復活させた
同社は2023年12月29日、輪番董事長(訳注:交代制の会長職。任期は6カ月)の胡厚崑氏からの新年メッセージを公表。そのなかで胡氏は、ファーウェイの2023年の売上高が7000億元(約13兆9252億円)を超え、2年連続の増収になる見通しだと明らかにした。
アメリカ政府が2020年に対ファーウェイ制裁を強化した後、同社は先端技術を用いた半導体の調達が困難になり、スマートフォンが主力のコンシューマー向け端末事業が大打撃を受けた。その結果、同社の2021年の売上高は前年比28.6%も減少した。
「正常な経営を回復」と宣言
だが、ファーウェイはそれ以上の業績悪化を全力で食い止めた。2022年の売上高は前年比0.9%増と小幅ながらも増収に転換。2023年の売上高を7000億元と仮定すると、同年の増収率は約9%に拡大する計算だ。
「数年間のたゆまぬ努力を通じて、ファーウェイは厳しい試練を乗り越えた。2023年の経営は基本的に正常な状態を回復した」
胡氏はメッセージの中でそう宣言し、主力事業の現状について次のように説明した。
「通信事業者向けのICT(情報通信技術)インフラ事業は安定を維持。コンシューマー向け端末事業は予想を超える回復を成し遂げ、デジタル・エネルギー事業とクラウドコンピューティング事業は順調に拡大した。スマートカー・ソリューション事業は競争力を大幅に高めた」
なかでも突出した成果と言えるのが、スマートフォン事業の鮮やかな復活だ。
ファーウェイは2023年8月末、ハイエンドの新型スマホ「Mate 60シリーズ」を発売。心臓部に自社設計の半導体「麒麟(Kirin)9000s」を搭載し、同社製のスマホとしては約2年ぶりに5G(第5世代移動通信)に対応した。Mate 60シリーズは中国市場で品薄になるほどの人気を博し、コンシューマー向け端末事業の回復に大きく貢献した。
自動車関連事業も徐々に軌道に乗りつつある。2023年9月には、提携関係にある中堅自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)と共同開発したSUVタイプのEV(電気自動車)「問界M7」のマイナーチェンジ・モデルを発売。旧型よりスマート機能のレベルを高めながら、メーカー希望価格を約4万元(約80万円)も引き下げた。
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