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オリンパスとキヤノン、「昔はカメラ競合」の協業 医療強化の流れで光学機器大手が合従連衡

東洋経済オンライン / 2024年1月19日 7時40分

協業を発表したオリンパスのドレバロウスキー最高内視鏡事業責任者(左)とキヤノンメディカルシステムズの瀧口社長(写真:風間仁一郎)

内視鏡世界トップのオリンパスとキヤノンの子会社で医療機器大手のキヤノンメディカルシステムズ(以下、キヤノンメディカル)が1月15日、協業を発表した。超音波内視鏡検査で使用する超音波診断装置をキヤノンメディカルがオリンパスに提供する、という内容だ。

【写真】「超音波内視鏡」の先端部。超音波内視鏡を使った診断が生かせると、とくに期待されているのが膵臓(すいぞう)や胆嚢の診断だ

「オリンパスとキヤノンの専門性とサポート体制を合わせたソリューションにより、患者に最適なケアを提供できる」。同日開催された記者会見の場で、オリンパスの最高内視鏡事業責任者であるフランク・ドレバロウスキー氏は協業に期待を込めた。

内視鏡の領域にこれまで参入していなかったキヤノンメディカルにとっても、協業は自社の技術を生かす機会となる。

超音波診断装置をキヤノンメディカルが提供

臓器などから跳ね返る超音波を基に体内の様子を画像化するのが超音波診断装置。身近なところでは、産婦人科で妊婦の胎内の様子を観察する際に一般的に使用されている。身体を傷つけることなく体内を観察できるのが特徴だ。

超音波内視鏡はその先端で超音波の受送信ができる。体内に挿入することで、胃壁の先など内視鏡が届く臓器の外側を観察できる。跳ね返る超音波を画像化するために必要な超音波診断装置を、キヤノンメディカルがオリンパスに提供する。

超音波内視鏡を使った診断が生かせると、とくに期待されているのが膵臓(すいぞう)や胆嚢の診断だ。膵臓は胃の後ろ側にある。超音波内視鏡を胃まで挿入することで膵臓の観察が可能になり、がんなどの疾患の発見につながると期待されている。

膵臓がんは5年生存率が低い病気として知られ、早期発見が重要だ。「超音波内視鏡と超音波診断装置の複合技術は、膵臓疾患に悩む患者への最高のケアを可能にする」(ドレバロウスキー氏)。

会見に登壇したオリンパス内視鏡事業担当役員の河野裕宣氏は、キヤノンメディカルとの協業に至った経緯について、次のように述べた。

「5年、10年先のことを考えたときに、どのパートナーと協業するのがよいか検討した。結果、超音波で技術があり、歴史も長いキヤノンメディカルが協業相手としてはいちばんだと思い、話をさせていただいた」

オリンパスは1980年代から超音波内視鏡を製造・販売してきた。今回の協業につながる検討を始めたのは2020年とのことだという。

オリンパスを猛追する富士フイルム

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