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名古屋「味噌煮込みうどん」香港で大成功のワケ 「大久手山本屋」香港1号店は1日600人が訪れる

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 12時20分

青木さんが海外進出を意識したのは、9年ほど前。それまでショッピングセンターやアウトレットモールなどから東京や大阪、福岡での出店のオファーがあったが、すべて断っていた。地元以外の場所でご当地の醸造文化はなかなか受け入れられないと判断したためだ。また、意気揚々と東京や大阪に進出したものの、撤退を余儀なくされた名古屋の飲食店も数多く見てきたのも理由の一つだった。

そんな中、知人から日本の鮮魚や生鮮品などを中心に香港の日本食レストランに卸しているゴーゴーフーズの宮松茂幸社長を紹介されたのがきっかけだった。

「『海外で日本人を活躍させたい』という宮松社長の言葉に惹かれて、日本人向けの店ではなく、現地で暮らす人々を相手にした店を出したいと思うようになりました。しかし、私の父である4代目は昔気質の職人なので、絶対に反対するだろうと。そこで、まずは観光で名古屋を訪れた外国人の方に来ていただこうと思いました」(青木さん)

名古屋は外国人観光客が少なく、英語や中国語表記のメニューを置いている店も少ない。しかし、GoogleマップやFacebookなどの口コミを見て来店する外国人の客もいるのは間違いない。当時、「大久手山本屋」には、中国や韓国、インドネシア、マレーシア、タイなどから来た観光客が訪れていた。

ムスリム(イスラム教徒)向けに店が情報を公開

青木さんは英語や中国語表記のメニューを用意したのは言うまでもなく、開店までの時間を利用して、外国人観光客向けにうどんの手打ちが体験できるイベントを企画、開催した。自分で打った麺を食べることはもちろん、別料金で天ぷらやおでんなどのサイドメニューやお酒も注文可能にした。これが好評を博して、昼や夜の営業よりも多く売り上げたこともあった。

さらに2019年からは、ムスリム(イスラム教徒)向けに店が情報を公開し、食べられるかどうかはムスリム自身に判断を委ねる「ムスリムフレンドリー」という考えを用いてムスリム対応のメニューも提供した。

今でこそムスリム対応の店は少しずつ増えているが、当時はインドカレーの店くらいしかなく、ネットや口コミで評判は広がった。月に約600人のムスリムが訪れるようになり、今でもその数をキープしているという。

「おかげで4代目に香港への出店の話を切り出しても反対はされませんでした。海外進出は香港のゴーゴーフーズの宮松社長ともう一人、『世界の山ちゃん』を運営するエスワイフードの創業者の故・山本重雄会長からも大きな影響を受けました」(青木さん)

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