東南アジアから「果物の対中輸出」が急増の背景 ベトナム産ドリアンの輸出額は前年の16倍に
東洋経済オンライン / 2024年1月22日 18時0分
東南アジア諸国が、中国への果物の輸出を増加させている。2023年1月から9月までに中国がASEAN(東南アジア諸国連合)から輸入した果物および加工品の総額は98億9000万ドル(約1兆4247億円)と、前年同期比27.2%増加した。
【写真】中国とラオスを結ぶ「中老鉄路」の開通により、タイから中国への生鮮食品の輸送時間が大幅に短縮された
なかでも急増ぶりが目立つのが「果物の王様」と呼ばれるドリアンだ。同じ期間に中国が輸入したASEAN産ドリアンは58億6000万ドル(約8442億円)に上り、前年同期比71%も増加。ASEAN産果物の輸入総額の約6割を占めた。
先行するタイをベトナムが猛追
ドリアンの対中輸出の増加を牽引するのはベトナムだ。2023年1月から11月までのベトナム産ドリアンの対中輸出額は約20億ドル(約2881億円)と、前年同期の実に16倍を記録した。
中国が輸入するドリアンの大部分は東南アジア産であり、なかでもタイ産の比率が高い。市場調査会社の智研諮詢によれば、タイは他の生産国に先んじて中国市場に流通ルートを築き、「金枕頭(ゴールデン・ピロー)ドリアン」という品種が高いブランド力を持つ。
しかし近年、ベトナム産のドリアンが低価格を売り物に中国への輸出を伸ばし、タイ産の市場シェアを奪いつつある。
ベトナム産ドリアンの人気上昇に目をつけた中国の小売業者も、ベトナムの産地への投資を積極的に増やしている。例えば、中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)傘下の生鮮スーパー、盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)は2023年10月、ベトナムに同社初のドリアンの直接仕入れ拠点を開設した。
鉄道や低温物流網の整備が追い風
とはいえ(ドリアン以外を含む)果物全体の対中輸出で見れば、タイの輸出額は依然としてASEAN最大だ。中国の業界団体のデータによれば、2023年1月から10月までに中国がタイから輸入した果物および加工品の総額は67億7000万ドル(約9753億円)に上り、ASEAN産果物の輸入総額の4割超を占めた。
東南アジア産の果物の対中輸出が急増している背景には、交通インフラの大幅な改善や低温物流ネットワークの整備などがある。
例えば、2021年12月に開通した(中国・雲南省の昆明とラオスのビエンチャンを結ぶ)「中老鉄路(中国ラオス鉄道)」を利用することで、以前はトラックで2日間かかっていたタイから中国への貨物輸送が15時間以内に短縮された。
(財新記者:李蓉茜、包雲紅)
※原文の配信は1月5日
財新 Biz&Tech
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