スバル「KINTO参入」もサブスクに大きな障壁 オートサロンで感じた「所有から共有」の現実
東洋経済オンライン / 2024年1月22日 12時0分
なぜならば、クルマにかけられる資金とその投入時期を自分のペースで考え、「手塩にかけたクルマとずっと一緒にいたい」という“愛車意識”が強いからだ。
「クルマ好きが好むブランド」サブスク参入の意味
特に近年では、若いころに夢見ていた往年のクルマのチューニングカーやカスタマイズカーをコレクターアイテムとして“大人買い”する中高年も多く、そうした人たちは「死ぬまで手元に置いておきたい」という意識が強い。
そんな大人買いでは現金一括購入の人もいるが、一般的にチューニングカーやカスタマイズカーの購入では、ローンを組んで毎月コツコツ支払う人が少なくない。
そもそも、東京オートサロンは主催者の出版社が発売するチューニング雑誌のファンイベント的な存在として始まっており、同誌に掲載されている全国各地の有名チューナーとユーザーとの商談の場としてチューニング等をパッケージ化してローン販売するとの意味合いが強かった。
それが今では、自動車メーカー各社が新型モデルを発表する国際モーターショー級の大規模イベントへと変貌している。そうした中で、「クルマ好きが好むブランド」のイメージが強いスバルが、新車サブスクへと舵を切ったのだ。
1980年代の東京オートサロン創成期からチューニングカー・カスタマイズカー業界と接してきた身としては、今回「大きな時代の変わり目」に立ち会ったような気がしている。
サブスクに関して海外に目を移すと、2010年代後半に欧米のプレミアムブランドで、ブランドごとのモデルラインアップを乗り換えられるサービスなどが一気に始まった。
これは、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)という次世代に向けた技術とサービスの市場導入を急ぐ各社の事業戦略の一環であった。そうした流れと並行するように、日本ではKINTOが始まったといえる。
ただし、日本でも欧米でも、サブスクを筆頭とする新車の「所有から共有」へのシフトは業界関係者の多くが当初、予想していたほどのスピード感で進んではいない印象がある。
こうした市場の流れについて、筆者はこれまで日欧米韓中、そしてインドや東南アジアの自動車メーカー関係者と意見交換してきたが、彼らの回答はかなり似ている。
「クルマを所有していたいという意識がまだまだ強い人が多い」、または「若い世代ではクルマを所有するという意識が薄れてきている」というオーソドックスな見解が少なくないのだ。
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