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九州地盤の鳥越製粉にアクティビストが株主提案 2024年の照準は「スタンダード上場の地方企業」

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 14時30分

【グラフ】株価水準の引き上げなどの取り組みの進捗状況は芳しくない

鳥越製粉に対し、アクティビスト(物言う株主)が3月開催予定の株主総会に向けて株主提案を行ったことが、東洋経済の取材でわかった。

【グラフ】株価水準の引き上げなどに向けた取り組みの進捗状況は芳しくない

鳥越製粉は福岡市に本社を置く製粉の中堅。東京証券取引所のスタンダード市場に上場している。

これまでアクティビストの株主提案はプライム市場に上場する企業に対するものが中心だった。しかし、「2024年はアクティビストのターゲットがスタンダード上場の地方企業に広がり、株主提案の件数は過去最高を更新するのではないか」(株式市場関係者)と見られている。

鳥越製粉に株主提案を行ったのは、香港の投資会社であるリム・アドバイザーズ。過去にJTやテレビ東京ホールディングスなどへ株主提案をしたことのあるアクティビストだ。

関係者によればリムが問題視しているのは、鳥越製粉のPBR(株価純資産倍率)の低さ。0.4倍前後と、解散価値である1倍割れが常態化していることだという。

鳥越製粉は自己資本比率が79.9%(2023年9月末時点)と高い。現預金が80億円、投資有価証券を合わせた有価証券が125億円ある。計205億円と流動性の高い運用資産が総資産の半分弱を占める。これは時価総額165億円(2024年1月19日時点)の1.24倍に相当する。リムは鳥越製粉が資本効率の悪化を放置し、低PBRの状態を招いていると見ているわけだ。

買収防衛策も問題視

さらにリムは、鳥越製粉が買収防衛策を導入している点についても問題視。「PBR1倍割れのまま買収防衛策を導入しているというのは、上場企業としてふさわしくないと考えている」(投資ファンド関係者)ようだ。

株主提案についてリムは「個別の案件には回答できない」としているが、関係者によればリムは、自己株買いや増配といった株主還元策のほか、持ち合い株式の売却、そして資本コストや取締役報酬の開示などを求めているという。

これに対し鳥越製粉は「株主提案は受領している。提案内容への対応については現在検討中」とコメントしている。

東証もPBRの低い企業が欧米に比べて多いことを問題視しており、上場企業に対して改善に向けた取り組みを促している。

2023年3月、東証はプライム市場とスタンダード市場の全上場会社に対し、資本コストや株価を意識した経営に取り組むことを要請。株価水準の引き上げに向けた具体策の実行と開示を求めた。

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