1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

生成AI「バーチャル家庭教師」の開発競争が加速 中国企業が教育特化型の大規模言語モデル発表

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 18時0分

有道は教育サービスに特化した大規模言語モデルを独自開発した(写真は同社ウェブサイトより)

生成AI(人工知能)を応用した「バーチャル家庭教師」の開発競争が加速している。

【写真】アメリカでは生成AIベースの新たな教育サービスが続々登場している。写真はカーンアカデミーの「カンミーゴ」のウェブサイトより

中国のオンライン教育サービス企業の有道(ヨウダオ)は1月3日、教育サービスに特化した(生成AIの基盤になる)大規模言語モデルの新バージョン「子曰(ズーユエ)2.0」を発表。と同時に、子曰2.0をベースにした全教科対応のAI家庭教師「小P老師」と、英会話などを音声で指導するAI家庭教師「ハイ・エコー2.0」をお披露目した。

有道は中国のオンラインゲーム大手、網易(ネットイース)の傘下企業だ。同社は2023年7月、独自に開発した中国初の教育向け大規模言語モデルを「子曰」と名付けて発表。その後に改良を重ね、(中国の学校で教えられている)全ての科目で生徒の質問に回答する機能や、口語表現のトレーニング、文章速読などさまざまなアプリケーションを開発してきた。

人間の教師の代替は否定

有道のCEO(経営最高責任者)を務める周楓氏の説明によれば、小P老師は小中学校レベルの教育内容に関する質問への正答率が汎用の大規模言語モデルを凌駕するという。ただし、開発の狙いは人間の教師に取って代わることではなく、教師のサポート役を担うことにあるとしている。

もうひとつのハイ・エコーは、中国の英会話教育という巨大市場に向けたアプリケーションだ。周氏によれば、その市場規模は推定500億~1000元(約1兆112億~約2兆225億円)に上る。ハイ・エコーは、英語を学ぶ大学生や社会人などを中心に数十万人の(旧バージョンからの)登録ユーザーを擁し、有料サービスへの加入意欲は旺盛だという。

中国国外に目を転じると、生成AIを応用した新たな教育サービスが続々と登場しており、開発競争が熾烈になっている。

小P老師やハイ・エコーのようなAIバーチャル家庭教師としては、アメリカのアニマトがオープンAIの「ChatGPT」をベースに開発した「コール・アニー」が有名だ。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語など多数の言語に対応し、数学、物理、化学、生物、プログラミング、金融などの専門分野までカバーしている。

中国の国産生成AIが急拡大も

そのほかにも、アメリカではカーンアカデミーの「カンミーゴ」、チェッグの「チェッグメイト」、コーセラの「コーセラ・コーチ」など、生成AIベースの新たな教育サービスが目白押しだ。

有道の周氏によれば、現時点の中国では生成AIベースの高度なアプリケーションはまだ非常に少ない。だが、中国国内で開発されている大規模言語モデルは急速に進化しており、「2024年は国産生成AIを応用したアプリケーションが爆発的に増加するかもしれない」と、周氏は予想する。

(財新記者:範俏佳)
※原文の配信は1月5日

財新 Biz&Tech

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください