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肥満症治療薬「ウゴービ」保険適用される人の条件 週に1回「使い捨て注射器」を自分でお腹に刺す

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 11時40分

日本で発売されるウゴービの添付文書によると、ウゴービの適応となるのは以下の条件を満たす人だ。

肥満症で、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。

・BMIが35kg/㎡以上

・BMIが27kg/㎡以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する

肥満に関連する健康障害:耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞・一過性脳虚血発作、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、月経異常・女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)・肥満低換気症候群、運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、肥満関連腎臓病

アメリカの成人におけるウゴービの適応症は、

・BMIが30kg/㎡以上

・BMIが27kg/㎡以上で、少なくとも1つの体重に関連した併存疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症など)を有する

EUでのウゴービの適応症は、

・BMIが30kg/㎡以上

・BMIが27kg/㎡以上30kg/㎡未満で、少なくとも1つの体重関連合併症がある。

体重関連合併症の例:血糖異常(糖尿病前症または2型糖尿病)、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群または心血管疾患

例えば身長160センチの人だと、アメリカでは体重が76.8kg以上という条件だけ満たせば治療が受けられる。EUでも血糖値が高め、というだけで条件を満たす。対して日本では、高血圧か脂質異常症か2型糖尿病のいずれかの病気で、その他に例えば閉塞性睡眠時無呼吸症候群と非アルコール性脂肪性肝疾患を合併してないとウゴービ治療を受けることができない。

日本では、欧米に比べて、ウゴービで治療を受けるためのハードルがかなり高いことがご理解いただけよう。これはどのような科学的根拠によるのだろうか?

日本人を含むアジア人は、白人と比較して、肥満による健康障害をより起こしやすい。同じ体重で比較した場合、白人よりアジア人は2型糖尿病の頻度が高い、という報告がある。American Diabetes Associationでは、白人は BMI 25kg/㎡以上で、アジア人はより低い体重のBMI 23kg/㎡以上で糖尿病のスクリーニング検査を受けることを推奨しているほどだ。

肥満症として治療を開始する基準も、アジア人は白人よりも低く設定すべきだ。ところが、ウゴービの治療適応は人種にかかわらず一定だ。人種によってウゴービ治療の恩恵を受けにくいことがEconomist誌でも問題点として指摘されている。人種の特性に応じて、適した治療開始基準を定めるか、基準に柔軟性を持たせるべきだ。では、日本のウゴービの治療開始基準が欧米よりタイトなのはなぜだろうか?

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