北朝鮮とロシアの関係に中国が激怒していた! ロ朝首脳会談にご立腹、中国人の北朝鮮入国を禁止
東洋経済オンライン / 2024年1月23日 7時50分
実は、中ロ関係は日本人が思う以上に薄っぺらで脆弱な関係だ。中ロ朝の3カ国とも、自分たちの権威主義体制維持を脅かすアメリカに反対するという1点で、しかも細くつながっているだけだ。
互いの利己的な国益のために、水面下ではそうとうなつばぜり合いが繰り返されており、蜜月関係とはとうてい言えるような関係ではない。
2024年1月13日に行われた台湾の総統選挙の結果もあり、中国の関心は台湾に集中しているような情勢ではある。しかし、中国の現実的な狙いは「台湾統一」ではなく、ロシア極東の再併合なのではないのかと思えるフシがある。
実際に、そう指摘する声がロシアと国境を接する吉林省の実業家や旅行業関係者などからもしばしば出されている。
現在の吉林省を含む旧満州、すなわち東北3省の人たちは、現在のウラジオストクを含むロシア沿海地方、アムール州、ユダヤ自治州、ザバイカリエ地方などを「外東北」(日本では外満州)と呼び、ウラジオストクを旧名の「海参崴」と呼び続ける人がいる。
それは、「外満州はロシアと結ばされた不平等条約によってロシア帝国に奪われた土地」と認識している人が少なくないからだ。
世界史の教科書をひもとくと、1858年のアイグン条約と1860年の北京条約で本来保有していた広大な領地がロシアへ割譲されている。
もちろん、習近平政権は一度も「奪われた外東北を奪還する」などと口にしたことはない。だが、吉林省在住の中国人たちに話を聞くと、そんな清朝時代の最大領土を取り戻すという「中国の夢」が見え隠れするのだ。
中国政府としては武力を用いず、かつ国際社会との摩擦も最小限に抑えてかつての領土を併合したい。そのためにロシアの国力低下を虎視眈々と待っているのだという声も、実は少なくはない。
中国が抱く「沿海州再併合」
中国は、ロシアがウクライナに勝とうが負けようが中国の国益になるようなポジションで動いている。ウクライナ戦争では、仮にロシアが勝利しても、国力や国際的な信用、プレゼンスも大幅低下することは避けられない。敗北すれば、ロシア領土が複数に分割される、などの話も飛び交っている。
前者であれば、疲弊したロシアに対し外満州を金で割譲することを持ちかける。後者であれば、分割された領土に対し歴史的な経緯を主張したり、高麗人(朝鮮半島からロシア沿海地方へ移住した朝鮮民族)を中国の少数民族朝鮮族の同胞だと定義し、少数民族保護などの名目で再併合するシナリオも考えられる。
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