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「なぜ自分が」被災者の心の傷に、我々ができる事 専門家「被災者が孤立しないためのケアが必要」

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 11時0分

能登半島地震の発生から3週間。被災者の心のケアについて専門家を取材しました(写真:Pahis/PIXTA)

能登半島地震の発生から22日で3週間経った。被災地では長引く避難生活で健康状態が悪くなり、命を落とす災害関連死が増え始めている。住民を2次避難させる動きも加速している。

重視される災害時の「心のケア」

そんな先行きの見えないなかで重視されているのが、災害時の「心のケア」だ。今後、被災者にはどのような心の不調が懸念され、どのようなケアが必要なのか。我々は被災者とどう向き合えばいいのか。

1月6日から5日間にわたり、石川県に派遣されたDPAT(災害派遣精神医療チーム)に参加した災害精神医学が専門の高橋晶准教授(筑波大学災害・地域精神医学講座)に聞いた。

同講座は震災発生後の1月4日、被災者や震災の情報に接する多くの一般の人たちに対して、「令和6年能登半島地震、ならびに羽田航空機事故に関するこころのケアについて」をホームページで公開した。「安全な場所に避難した後は深呼吸をしたり音楽を聴くなどして気持ちをリラックスさせる」ことなどを勧めている。

被災者だけでなく、消防士や救急隊員、警察官、被災した自治体で働く行政職員や病院のスタッフといった救援者・支援者へ向けて注意喚起を行っているのも特徴で、「業務にあたってはこまめに休息をとり、無理をしないでください」と呼びかけた。

高橋さんは「災害時の心のケアの対象となるのは、被災者だけでなく支援者も。災害時の心理状態の変化はある程度パターン化されているものもあるので、参考にしてもらえるよう早めに発表した」と話す。

今は混乱が徐々に収束する「急性期」

つらいことがあった際に生じる心の状況は、時間とともに変化する。

時間の経過はさまざまな考え方があるが、精神面に関して高橋さんらは、以下のように呼び、その時期にあった対応が必要としている。

■被災直後~数日 救命救急や安全の確保が優先される「超急性期」
■1週間~1カ月 発生直後の混乱が徐々に収束に向かう「急性期」
■1~3カ月 徐々に復旧が進む「中期」
■3カ月以降 平常の生活に戻っていく一方で、さまざまな格差が現れる「長期」

3週間が過ぎた現在は「急性期」にあたるが、高橋さんは「奥能登地方へのアクセスは当初は電柱が道路に倒れ、地震でできた道の亀裂や段差により、通常は1時間程度で行ける場所に10時間かかった。これまでの被災地と比べ、能登はこうしたアクセスの困難さもあり、支援が十分に入れていない。余震が続いていることも大きく、急性期が長引いているといえる」と話す。

災害直後に起こる心の状態とPTSD

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