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金融庁、損保ジャパンに「激甘行政処分」の舞台裏 構造問題への切り込みを先送りにした「怠慢」

東洋経済オンライン / 2024年1月25日 7時0分

一方で金融庁は、損保ジャパンをはじめ大手損保による保険料カルテル問題にも直面しており、その調査と対応に足元で忙殺されている。

その状況で、不正請求の黙認という業界に深く根差した構造問題にも切り込めば、「自動車整備などを所管する国土交通省との綿密な調整も必要になる。スーパーマンでもない限りとても手に負えない」(金融庁OB)という現実もある。

そもそも金融庁は当初から、ビッグモーターによる不正請求問題に正面から向き合おうとしてこなかった。

今から1年半前の2022年7月、金融庁はこの問題について損保ジャパンから任意報告を受けた。その報告は、工場長の指示に関する証言シートの改ざんについての事実を隠したものだった。「虚偽報告」だったことから、重大な不正事案と認識できなかったという言い訳が金融庁から聞こえてきそうだが、それは通用しない。

なぜなら、東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険の2社が同じ時期に金融庁へ、損保ジャパンが不正請求を黙認し単独で入庫再開している状況を逐一報告し、対応を働きかけていたからだ。

2社の報告を受けて、金融庁が早期に損保ジャパンに改めてヒアリングし、調査などの対応に乗り出していれば、ここまで問題が長引くことはなかった。ましてや、カルテル問題と同時並行での対応を迫られることもなかったはずだ。

業務停止にしない理屈付けより先にすべきこと

保険会社が虚偽報告をしようが、不正請求の隠蔽に加担しようが、業務停止にはしないという前例をつくってしまった金融庁。上層部からはマスコミ対策として、「業務停止をしない理屈をしっかりと考えておけ」と指示が飛んでいるという。

だが、理屈付けに頭をひねっている暇があるのであれば、手始めに水増し請求をした自動車ディーラーにヒアリング調査し、いかに深く根差した構造問題であるか実態を見てみてはどうだろうか。

中村 正毅:東洋経済 記者

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