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中国「不動産不況」が個人の消費マインドに冷水 UBSは2024年の個人消費伸び率を5.5%と予想

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 16時0分

UBSの調査によれば、中国ではコロナ禍の間に積み上がった過剰貯蓄が消費に向かわず、個人消費が伸び悩んでいる(写真はイメージ)

「中国の不動産の余剰在庫整理は2025年初めまで続く可能性がある。それに伴う住宅価格の下落は、短期的な個人消費にマイナスの影響を与える恐れがある」――。

【写真】不動産は中国の家計資産の70~80%を占め、相場の動きが消費マインドに大きな影響を与える。写真は経営危機に陥っている不動産大手、恒大集団が建築中のマンション

スイス金融大手のUBSで大中華圏の消費財セクターのチーフアナリストを務める彭燕燕(クリスティーン・ポン)氏は1月8日、財新を含むメディアの取材に応じた際、そのような見方を示した。

彭氏は、中国の(個人消費の代表的な指標である)社会消費財小売総額が2024年は前年比5.5%の伸びにとどまり、2023年の6.5%を下回ると予想。さらに、2024年のGDP(国内総生産)成長率も(2023年の5.2%から)4.4%に減速すると予想する。

コロナ後も貯蓄率が高止まり

「過去3年間、中国の個人消費のパフォーマンスは(専門家の)予想を下回ってきた。その一因は、新型コロナウイルスの流行期に蓄積された過剰貯蓄が、その後も消費に回っていないことにある。これは欧米諸国などとは異なる傾向だ」。彭氏はそう指摘する。

彭氏によれば、アメリカではコロナ流行期の過剰貯蓄が2021年4~6月期から消費に向かい始めた。さらにインフレの要素が加わり、アメリカの過去3年間の小売り売上高はコロナ前を上回る成長率を記録した。

一方、UBSの試算によれば、中国の小売り売上高は2020年から2023年までの年平均成長率が4%と、(コロナ前の)2015年から2019年までの同10%から大きく低下している。

「中国の(家計の)貯蓄率はコロナ前の推定34%から、コロナ後は38%に上昇した。理論的にはコロナ禍の収束とともに34%に戻るはずだが、現実には貯蓄性向にまったく変化は生じていない」(彭氏)

UBSが2023年11月に実施した消費者調査によれば、(市民の平均所得が中国で最も高い)北京、上海、広州、深圳の4大都市に住む女性の消費マインドは、中国政府がコロナ対策の厳しい防疫措置を緩和する前の2022年11月より、むしろ冷え込んでいることがわかったという。

政府主導の消費刺激策に期待

消費マインド低下の背景について、彭氏は不動産市況(の悪化)や雇用の先行きに対する消費者心理が関係していると見る。なかでも不動産は中国の家計資産の70~80%を占めており、相場の動向が(何にお金を使うか、使わないかという)消費の選択に大きな影響を与える。

家計の過剰貯蓄を減らし、消費に向かわせる手立てはあるのか。彭氏は、中国政府が何らかの政策的対応を取るべきだと建議し、一案として「消費券」の発行を挙げた。

「中国では、個人消費全体に占める消費券の比率が1%に満たない。この比率は(欧米諸国などと比べて)あまりにも低い」。彭氏はそう述べ、政府主導でより広範な消費刺激策の実施が必要という考えを示した。

(財新記者:張爾弛)
※原文の配信は1月9日

財新 Biz&Tech

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