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走る産業文化財、「動態保存」蒸気機関車の軌跡 国鉄時代の「やまぐち号」から東武「大樹」まで

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 6時30分

JR北海道独自の本格的SL復活は、1999年に放送されたNHK連続テレビ小説「すずらん」がきっかけだった。これは北海道の鉄道員一家の物語で、筆者がロケ地を留萌本線恵比島駅に設定し、架空の「明日萌駅」として撮影が行われた。

当時、JR北海道はこの地で走らせるSLは所有していなかったため、真岡鉄道のC12形を借りてロケを行った。「すずらん」の視聴率は好調でロケ地を訪れる観光客も多く、その人気にあやかりJR北海道は標茶町の児童公園で静態保存されていたC11形171号機を動態復元し、留萌線の観光列車「SLすずらん号」として1999年5月から運転を開始した。

翌2000年1月からは、釧網本線の釧路―標茶間で「SL冬の湿原号」の運転も始まった。同年には現役時代に日高線で活躍した特徴ある「二つ目」のC11形207号機も動態復元されて交互に運行されるようになり、重連運転も行われた。現在、JR北海道のSL列車は「SL冬の湿原号」のみとなり、C11形207号機は東武鉄道に貸し出され「SL大樹」で運用されている。

JR東日本の動態保存SLは、1988年の「オリエント急行」来日の際に復活したD51形498号機が最初だ。同年12月23日、オリエント急行の国内走行ラストランを上野―大宮間で牽引し華やかな復活を果たした。同機はその後、高崎―水上間の「SL奥利根号」(「SLぐんまみなかみ」の前身)を牽引、JR東日本の復活SL運転が本格化した。

1999年にはC57形180号機が動態復活し、同年4月29日から「SLばんえつ物語」牽引機として運転開始し、現在まで根強い人気を保っている。2011年にはC61形20号機も復活を遂げ、D51形498号機とともに主に群馬県内で活躍している。

2014年4月からは、東日本大震災の被災地復興の応援として「SL銀河」を釜石線花巻―釜石間で運転開始した。盛岡市の公園で静態保存されていたC58形239号機を修復し、客車は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに元JR北海道の気動車を改造した車両だった。客車の老朽化という理由で2023年6月4日に運行を取りやめてしまったが、このC58形は現在も動態保存状態にあり、JR東日本のSLは4両体制である。

ウェスタン調だった「ハチロク」

JR西日本は先述の通り、国鉄・JRの動態保存SLのパイオニアである「SLやまぐち号」を発足当初から運行していたほか、現在は京都鉄道博物館で動態保存されているC56形160号機も「SL北びわこ号」としての運転をはじめ各地で走行した。2017年にはそれまで京都鉄道博物館(梅小路蒸気機関車館)の構内で動態保存されていたD51形200号機が本線での運転に復活した。

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