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「ビッグモーター不正」でSOMPOの役員が大量退陣 自己保身の体質が招いた保険金不正請求の隠蔽

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 7時30分

櫻田氏は損保ジャパンなど子会社を「事業オーナー制」とし、人事などの権限を委譲して経営のスピードと独立性を高める体制を敷いたはずだった。だが、実態は「櫻田が箸の上げ下ろしにまで神経質に目を光らせ、強引に手を入れようとしてくることが少なからずあった」(損保ジャパン役員)という。

親会社のSOMPOの役員たちも、常に「強いプレッシャーを感じていた」(金融庁)とされ、定例ミーティングなどでの櫻田氏への状況報告を、「『俺は嫌だから、お前が行けよ』と、(損保)ジャパンなど子会社の役員に押し付けるような姿が年々目立つようになった」(損保ジャパン役員)。

バッドニュースが適切に報告されない企業文化

BM不正をはじめとした経営上のバッドニュースが、「適時・適切に報告されない企業文化」(金融庁)は、そうして醸成されていった。さらに、櫻田氏らSOMPO首脳陣のリスク感度が鈍いことから、重大な不正事案に対して親会社として踏み込んだ実態把握や情報分析に動こうとせず、不正による被害を拡大させることにつながっていったわけだ。

櫻田氏は13年間もグループのトップとして、また損保ジャパンの取締役として経営を指揮しながら、金融庁に「機能不全」「崩壊」と断じられるような経営管理体制と内部統制に甘んじてきた。そのことの責任はやはり大きい。

一方で、会見で櫻田氏は「グループの最高経営責任者として、(BM問題の)結果責任はとる」と何度も強調し、金融庁に指摘された悪しき企業文化や体制を生み出した原因や責任については、多くを語ろうとしなかった。受け答えの端々に、「自らが作り上げた統治体制を批判されたり、否定されたりする筋合いはない」との思いがにじみ出ているかのようだった。

昨夏までは、会長職として当面居座る腹積もりだったとされる櫻田氏に、金融庁が引導を渡すことにこだわったのは、このような周囲の意見に耳を貸そうとしないトップがもたらす経営への弊害が、看過できないほどに大きいと判断したからだろう。

石川氏は櫻田氏の「側近中の側近」

今後、SOMPOと損保ジャパンの両社は経営体制を刷新し、出直しを図る狙いだが、懸念は残る。

それは白川氏の後任となる石川氏が、昨夏まで5年間にわたって、主に櫻田氏の財界活動をサポートしてきた側近中の側近だったという点だ。

社内評では「櫻田氏にべったりという人物では決してない」というが、櫻田氏による「傀儡政権」という世間の見方をはたして払しょくできるのか。

会見で「新しい経営チームと共に、信念を持って新しい損保ジャパンを作り上げていきたい」と意気込みを語った石川氏には、長く険しい「茨の道が待っている」(金融庁幹部)。

中村 正毅:東洋経済 記者

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