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中国BYDが自社専用「自動車運搬船」の運用を開始 EVの輸出急増に対応、リースに加え自社所有も

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 15時0分

BYDの初の専用運搬船「BYDエクスプローラー NO.1」は、船舶管理会社のゾディアック・マリタイムからリースされている。写真は同船を建造したCIMCラッフルズの広報動画より

中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)が、自社専用の自動車運搬船の運用を開始した。

【写真】中国の自動車輸出の急増に伴い、運搬船の確保が急務になっている。写真は中国の埠頭で積み込みを待つ上海汽車集団製のEV

この運搬船は「BYDエクスプローラー NO.1」と命名され、船体の長さは199.9メートル、幅は38メートル、小型車ならば約7000台を積載できる。初航海は1月10日に山東省の煙台港の自動車専用埠頭で輸出車両を載せ、続いて広東省の深圳港で追加の積み込みを行った後、ヨーロッパ(の荷揚げ港)に向かう予定だ。

BYDはイギリスのロンドンに本拠を置く船舶管理会社、ゾディアック・マリタイムから同船をリースした。ゾディアックの発注を受けて船体を建造したのは中国の国有コンテナ海運大手、中国国際海運集装箱(CIMC)傘下の造船会社であるCIMCラッフルズだ。

リース料が3年前の7倍超に

ここ数年、中国の自動車輸出が急増したことに伴って(中国から海外に向かう)自動車運搬船のリース料が急騰している。

イギリスの海事情報会社、クラークソンズ・リサーチのデータによれば、積載量6500台クラスの自動車運搬船のリース料は2024年1月上旬時点で1日当たり11万5000ドル(約1670万円)。これは3年前の実に7倍超の水準だ。

そんななか、BYDは自社専用の運搬船団の立ち上げに乗り出した。クラークソンズの情報によれば、前出のゾディアックはCIMCラッフルズに10隻の自動車運搬船を発注しており、いずれも2024年から2025年の間に引き渡される。財新記者の取材に応じた業界関係者によれば、それらの大部分がBYDに長期契約でリースされる予定だという。

BYDはリース方式にとどまらず、自社所有の自動車運搬船の建造も進めている。財新記者が複数の関係者から入手した情報によれば、2022年10月、BYDの関連会社が山東省煙台市の造船所に8隻の自動車運搬船を発注した。うち6隻は確定発注、2隻はオプション(予備発注)とされ、契約総額は50億元(約1016億円)近くに上る。

2023年1月には、国有造船大手の中国船舶集団の傘下企業が、積載量7000台クラスの自動車運搬船2隻をBYDから受注したと発表。ほぼ同時期に、BYDは国有複合企業の招商局集団の傘下にある造船会社にも積載量9200台クラスの自動車運搬船4隻を発注した。

運搬船の自社所有にはリスクも

中国の自動車メーカーが自社所有の自動車運搬船を建造する動きは、BYDだけに限らない。

国有自動車最大手の上海汽車集団は、傘下の物流企業を通じて中国最大の自動車運搬船団を保有している。同社はさらに12隻の大型運搬船を建造中だ。国有中堅メーカーの奇瑞汽車も、2022年6月に積載量7000台クラスの自動車運搬船3隻の建造を発注した。

もっとも、自動車メーカーが運搬船を自社所有することに関しては、大きなリスクを指摘する声がある。

「船舶のオペレーションには専門性が求められる。そのうえ、自動車運搬船は用途が限定され船主の数も少ない。景気が悪化したときに転売しようとしても、買い手を見つけるのは至難の業だ」。ある船舶リース会社の経営者は、財新記者の取材に対してそうコメントした。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は1月11日

財新 Biz&Tech

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