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盲目的「推し活」が人間関係に及ぼすマズい影響 「欠点の見えない推し」を推し続ける事の欠点

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 19時0分

いや、コフートのような役割までいかなくても、友達同士や恋人同士の間では〝喧嘩をしても仲直り〞や〝雨降って地固まる〞といったかたちで、〝適度な幻滅〞に相当する出来事が起こることもあるでしょう。

しかしキャラクターやインフルエンサーとの間ではそうしたことは起こりにくく、もし気に入らない点が見つかったとしても仲直りや〝適度な幻滅〞に相当する出来事も起こらず、欠点のみえない別のキャラクターやインフルエンサーのほうを向いてしまいがちではないでしょうか。

この、〝雨降って地固まる〞や〝適度な幻滅〞が発生するかどうかが、自己対象が身近な人間なのか、それともディスプレイの向こう側のキャラクターや遠いインフルエンサーなのかを分ける一番大きな違いだと私は考えています。

ナルシシズムの充足はキャラクターやインフルエンサーのほうがお手軽だとしても、ナルシシズムの成熟可能性という点では、身近なところの自己対象のほうがずっと見込みがあります。

インフルエンサーやキャラクターを「推し」として、理想化自己対象としてどんなに体験したとしても、職場の上司や、部活の先輩を理想化自己対象としてナルシシズムを充たすことはできません。

上司や先輩、同僚や自分の属するグループなどを自己対象として体験できているかできていないかで、職場でナルシシズムが充たされる度合いは変わり、居心地やモチベーションはもちろん、職場でのスキルアップや職場の人間関係や周囲からの評価までもが変わっていくでしょう。

そのことを思うと、身近なところに自己対象として体験できる人がおらず、ディスプレイの向こうのキャラクターや遠くのインフルエンサーだけを自己対象とし、ナルシシズムを充たす頼みの綱とするのがベストとは思えません。

人間関係を簡単に切れる時代に考えたいこと

SNSやインターネットの時代を迎えて、私たちは単にナルシシズムを充たすだけなら非常にイージーな時代を迎えています。そのかわり、気に入らないところや欠点のみえる人との人間関係を簡単に切ってしまいやすく、そうでないキャラクターやインフルエンサーに鞍替えしやすくなりました。ケンカをしてしまった人や見解の相違を含む人、ときには争うこともある人と人間関係を続けにくい時代を迎えたとも言えます。

そんな時代だからこそ、今、身近にいる友達や先輩、上司や先生、後輩といった人たちが自己対象として体験できるなら、その関係はなるべく大切にしたいものです。

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