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中国の「石炭輸入量」、2023年に6割超増加の背景 関税免除と国際相場下落で国内炭との差が縮小

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 18時0分

中国が輸入する石炭はインドネシア産やオーストラリア産が主力だ。写真は粉塵飛散を防ぐドーム状の屋根が設けられた広東省の輸入炭専用埠頭(運営母体の塩田港のウェブサイトより)

中国の石炭輸入量が大幅に増えている。中国海関総署(税関)が1月12日に発表したデータによれば、2023年の石炭輸入量は過去最大の4億4700万トンに達し、前年より61.8%も増加した。これまでの最高記録は2013年の3億2700万トンだった。

【写真】中国の石炭火力発電所は、価格が下がった輸入炭の調達を増やしている。

輸入量急増の背景には、石炭の国際相場の下落や(2020年12月から約2年間停止していた)オーストラリア産石炭の輸入再開がある。輸入単価の下落を反映し、金額ベースで見た2023年の石炭輸入総額は前年比24.1%増の529億6600万ドル(約7兆6798億円)だった。

需要家の優先順位に変化

石炭の国際相場は、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の直後から急騰。中国政府は国内のエネルギー供給の安定を図るため、同年5月から石炭の輸入関税を免除した。

その後、石炭相場への戦争の影響は徐々に緩和し、2023年に入ると国際市場のスポット価格が急落。同年に中国が輸入した石炭の平均単価は1トン当たり111.65ドル(約1万6189円)と、前年より2割近く低下した。

「輸入関税の免除に輸入炭の価格下落が加わり、国内炭との調達コストの差が縮まった。その結果、(大口の需要家である)火力発電所の石炭消費の優先順位が、まず長期契約の(国内産の)石炭、次に安くなった輸入炭、最後にスポット調達の国内炭という順序に変わった」。ある証券会社の石炭業界担当アナリストは、そう解説する。

中国政府は2024年1月1日から、石炭の輸入関税を復活させた。だが、中国はASEAN(東南アジア諸国連合)およびオーストラリアとFTA(自由貿易協定)を結んでおり、輸入炭の主力であるインドネシア産とオーストラリア産は関税免除が継続されている。

さらにロシア、アメリカ、南アフリカからの輸入炭に関しても、無煙炭、コークス、褐炭は3%、その他の石炭は6%の最恵国税率が適用される。そのため、関税の復活が石炭輸入に与える実質的な影響は小さいと見られている。

2024年は輸入量減少の可能性も

とはいえ、中国の市場関係者の間では、2024年の石炭輸入量は2023年ほど大幅には増えないという見方が主流だ。

例えば信達証券の調査レポートは、石炭の輸出大国であるインドネシアとオーストラリアの産出能力がさほど増えていないことや、インドやASEANの需要が極めて旺盛なことなどから、中国が輸入できる量には限度があると指摘している。

「石炭の国際相場は、(インフレの影響などによる)産出国のコストアップに押し上げられる可能性がある。そうなれば、中国の石炭輸入量は2023年より減少するかもしれない」。前出の石炭業界担当アナリストは、そう予想する。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は1月13日

財新 Biz&Tech

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