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「時代の寵児」オーサムストアはどこで失敗したか 雑貨界で果敢な挑戦も、コロナ禍に売上が低下した

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 21時0分

それゆえに、オーサムストアは雑貨界に挑戦をした。そして時代の寵児となった。ただしコロナ禍が売上を低迷させた。

私は、コロナ禍前の2019年に約55億円だった売上高が、2020年には約46億円と低迷していた事実を紹介した。

ところで、オーサムストアがコロナ禍で無策だったわけではない。むしろ、私には施策を次々と繰り出しているように見えた。

さまざまな施策も結局、売上を維持・拡大できなかった

オンラインだけでも、オフラインだけでもなく、OMO型の旗艦店を渋谷にオープンしたのは、むしろコロナ禍に突入したあとの2021年3月だった。コロナ禍では、自宅ですごす時間が増える。だから、生活用品の需要が高まるのは一過性のトレンドではない、と踏んだ。私は渋谷の同店に、数度しか行った経験はないが(現在、閉店)、アメリカ調の内装は印象に残った。

また、たとえば人と人との接触が減少したコロナ禍では、飼い猫や飼い犬などペットのブームが起こった。そこでオーサムストアでは、ペットグッズを直ちに大展開した。ペットグッズを前面に出すだけではなく、「にゃんバサダー」「わんバサダー」を募集し、アンバサダーとして起用、商品とともにSNSで発信してもらう試みなどを開始した。

そのころペット関連の売上は伸びていたし、私は当時、同社のプレスリリースを見て「わんバサダー5名、にゃんバサダー5名」なる表現があったことから「そりゃ人じゃなくて、匹とか頭だろうよ。あ、でも、人間とおなじくらい大切に思っているってことかあ」と奇妙に納得した記憶がある。どうでもいい話で失礼。

また、コロナ禍ではお笑い芸人とタッグを組み、商品を企画して、その魅力やポイントを訴えかける企画も実施した。ネットの拡散をねらい、店舗との融合を目指してきた。

旗艦店の出店がまずかったのではないか、とか、もっと他カテゴリの商品を増やさねばならなかったのではないか、とか、すべては結果論。コロナ禍前であれば好施策だったかもしれないが、物流センターや店舗などの経費がかさんでいたのも事実だろう。

さまざまな施策も努力もあっただろうし、私は非常にオーサムストアの閉店は残念に思う。ただし、けっきょくはさまざまな施策があったとはいえ売上を維持できなかったのも事実だ。雑貨は女性客が中心で、女性が生活で使いやすいアイテムで訴求せねばならない。

また現在、多くの異業種が雑貨を販売している。ファストファッションのブランドも店舗で大きなスペースを確保し雑貨を販売している。ちょっとした雑貨を買おうかな、と消費者が思ったとき、脳内の検索で1位にあがってくるためには、様々な競合店を勝ち抜かねばならない。

冒頭で私は、時代の寵児は時代に翻弄され潰えた、と感傷的な文章を書いた。少なくとも、Awesome=すごい結果にならなかったのは残念だ。

Awesomeとは、文脈がずれれば、「やばい」という意味も持ち始める。

坂口 孝則:調達・購買業務コンサルタント、講演家

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