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東大生解説、数学嫌いでも「積分」学んでほしい根拠 理屈は難しくない!考え方を知ることで広がる視点

東洋経済オンライン / 2024年2月1日 11時30分

積分を学ぶメリットについて解説します(写真:Rina/PIXTA)

世の中のさまざまな仕組みを数学を使って解明することで、物事を⾒る視野が広がります。今回は高校数学で学ぶ「積分」について、現役東大生の永田耕作さんが解説します。

車はいったいどれだけ進んだ?

前回の記事(「微分は実生活で使わない」と思う人に欠けた視点)では、車の問題を出題して「微分」について解説しました。今回は「積分」について考えてみたいと思います。以下の問題を考えてみてください。

【図】車を運転しているときの時間と速度の関係

停まっていた車に乗ったあなたは車のアクセルを踏み、等しい加速度で10秒間車のスピードを上げ、時速30kmまで加速しました。そして、その速度で2分間運転をした後、ブレーキを踏み、等しい加速度で10秒間車のスピードを下げ、再び車を停めました。運転をする前に停まっていた車の位置から進んだ距離を答えてください。

いかがでしょう? 問題条件が複雑で、どこからどのように考えればよいかわからない、という人も多かったのではないでしょうか。

しかしこの問題は、条件的には実際の車の動きに即した問題になっています。車のアクセルを踏んだ瞬間に時速30kmまで加速できるわけではありませんし、ブレーキを踏んだら一瞬で車が止まることもありません。

では、このような問題はどのように考えればよいのか。ここで使うのが「積分」の考え方です。

積分とは、数学や物理学などの領域で用いられる概念です。時間によって変化する事柄や、片方の値に応じてとる値が変化する関数を、範囲を定めて数値的に評価することができます。この積分を使うと、先ほどの問題はこのように考えることができます。

以下のグラフでは、横軸を時間、縦軸を速度としています。また、車を走らせ始めた時間を「0」として、それぞれの時間ごとの速度変化を表しています。

問題条件に合わせて速度を考えると、最初の10秒間は右肩上がりのグラフ、時速が一定になってからの2分間は横軸と平行な直線に、ブレーキを踏んで停車しようとしている最後の10秒間は右肩下がりになります。

実は積分の考えを用いると、このグラフと横軸(時間の軸)でできる図形の面積を求めることで問題の答えである「進んだ距離」がわかるのです。

台形の面積を求める公式で計算してみる

この問題の場合は、台形の面積を求める公式を用いてみましょう。台形の面積は、

「(上底+下底)×高さ÷2」

で求めることができます。今回の場合において、上底は「2分」、下底は「2分20秒」、高さは「時速30km」であるため、求める答えは

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