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「作りたい女と食べたい女」描く日常が共感呼ぶ訳 同性カップル扱う「きのう何食べた?」との違い

東洋経済オンライン / 2024年2月1日 13時30分

同性愛者の日常の機微を描くドラマとしては、西島秀俊と内野聖陽がおじさん同士の同棲カップル役を演じる『きのう何食べた?』(テレビ東京系)がある。

相手のためにこだわりの料理を作る過程から、おいしそうに食べる姿を映す点や、性的マイノリティの心情を温かく描く点は『作りたい女と食べたい女』と共通する。

一方、異なるのは、『きのう何食べた?』は、男性同士の同棲カップルへの社会からの偏見を根底にして、2人の家族やご近所さんとの関係性、当事者たちの葛藤と理解、人それぞれの生き方の尊重を描いている部分にある。

それに対して、『作りたい女と食べたい女』は、彼女たち2人の半径5メートルの生活に優しく寄り添ってフォーカスする。そこには彼女たち2人のほかは、最小限の社会しか存在しない。

シーズン1では、野本が春日との出会いを通して自身の性的指向に気づくまでと、気づいたときの心の在りようを繊細に丁寧に描いた。そこで視聴者は、野本の不安や葛藤に揺れ動く感情を共有した。

それは、異性愛者でも同性愛者でも変わらぬ、現代社会を生きる20〜30代女性の心のなかにある感情であり、共感できるものであったから、社会的な反響を得たのだろう。

またシーズン1では、野本が思いを寄せる春日の性自認や性的指向、野本への感情などは一切触れられてこなかった。

シーズン2では、お互いの部屋を行き来して、料理して食べる生活がどう変わっていくのか。野本は気持ちをどう伝えるのか。気になる点がもりだくさんだ。

そんななか、シーズン2の初回は、生活費を抑えるために“2人ごはん”の回数を減らすという切ない話し合いからスタートした。一方、2人の間の部屋には新たな入居者が入る。シーズン2から新たに2人の女性が登場するが、それによって野本と春日の関係にどう影響や刺激を与えていくかがポイントになりそうだ。

幸せとは何かを考えさせてくれる

本作が描くのは、社会の片隅で実直に生きる女性が抱く、いまにも埋もれてしまいそうなささやかな思い。本人さえもそれを否定してしまいがちになることもあるが、まわりにはそれを理解してくれたり、同じ気持ちで生きている人たちが必ずいる。

そんな人たちと過ごす時間は楽しいに決まっている。楽しく過ごす時間を至上の価値にする彼女たちの姿に共感したり、励まされたりする人は多いだろう。何が幸せなのか、どう生きるべきか、という人それぞれ異なるであろう答えのひとつを、彼女たちは提示してくれている。

シーズン2の野本の恋の行方を応援しながら、投げかけられるメッセージを受け止めたい。

武井 保之:ライター

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