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Netflixで再燃「バカリズム脚本ドラマ」の魅力 まだまだ快進撃続く「ブラッシュアップライフ」

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 11時50分

観察力に脱帽する場面が多い

そんな芸達者の役者たちによる会話劇も超リアル。ファミレスやカフェで隣の席から聞こえてくるような内容です。たとえば、あーちん(安藤)を含む仲良し3人組が食事後にカラオケ店に行った時のエピソード。

バイトスタッフの福ちゃん(染谷)が好意でサービスしたポテトに対して「気持ちは超嬉しい。でもサービスしてくれるならドリンク、タダだよね」と、小さな不満をこぼすタイミングも言葉選びも再現性が高いと思ってしまうほどです。

また表面上ではわからないような微妙な距離感がある関係性を「麻美ちゃん」と「あーちん」という名前の呼び方で変える表し方も巧妙です。ほかにも、小学生女子の間のシール交換を「交渉術を養う場」としたり、思春期の父親に対する嫌悪感を「携帯ストラップ」で表現したりと、観察力に脱帽する場面がとにかく多いのです。

クスッと笑える要素がふんだんにあるドラマの場合、日本に限らず、自国限定ウケになることが多いのですが、「ブラッシュアップライフ」は世界にも通じる可能性が高そうです。というのも、これまで日本をはじめ、海外でも「ブラッシュアップライフ」は高い評価を受けています。

1月12日、13日にベトナムのホーチミンで授賞式が行われたアジア最大級の番組アワード「ATA2023」(Asian Television Awards 2023)ではバカリズムさんが日本人初となる最優秀脚本賞を受賞し、これで国内外のコンペティションでの受賞は通算11回に上ります。

世界中の30代女性が自己投影できるストーリー

2023年10月にフランスのカンヌで行われた世界最大級の番組コンテンツ見本市MIPCOMでも高く評価され、注目度を現地で実感しました。日本の国際ドラマフェスティバル in TOKYO 実行委員会が主催した「MIPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Drama」という受賞イベントでは、長年日本のドラマの審査員を務め、1話を実際に視聴したセルビアのバイヤーから「国を問わず、世界中の30代女性が自己投影できるストーリーが素晴らしい」と、興奮気味に絶賛する言葉を直接耳にしたので尚更です。もしかすると、もしかするんじゃないかと可能性を感じます。

唯一の懸念点と言えば、作中で描かれる生まれ変わりの東洋思想です。バカリズムさん本人も登場する死後の世界の「案内所」は物語のフックでもあって、思想の違いによって多少なりとも理解度が変わるかもしれません。ただし、人間に生まれ変わりたいばかりに徳を積むことに夢中になっていく主人公が後半で得る気づきはユニバーサルなものです。地元の親友という存在に価値が置かれていることがわかりやすい話ですから、結局は共感はされやすいと思います。

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