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中国の「石炭生産量」、3年連続で過去最高を更新 政府の増産政策が後押し、超過採掘への懸念も

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 18時0分

石炭は中国のエネルギー供給を支える大黒柱だ。写真は中国の大型炭鉱の採掘現場(国家能源集団のウェブサイトより)

中国の石炭生産量が3年連続で過去最高を更新したことがわかった。中国国家統計局が1月17日に発表した最新データによれば、2023年の石炭生産量は46億6000万トンと前年比2.9%の増加を記録した。

【写真】中国の石炭生産量は2014年から2016年にかけて減少した後、再び増加に転じた。

石炭増産が続く背景には、2021年から2022年にかけて生じた市場価格の高騰がある。その影響で中国各地の石炭火力発電所が赤字に陥り、一部の地域では(損失拡大を抑えるために)電力供給を制限する事態に至った。

それを重く見た(中国のマクロ経済政策を統括する)国家発展改革委員会は、エネルギーの安定供給を確保するための政策対応の一環として、国内炭鉱の秩序を伴う増産を後押しした。

供給増で市場価格を抑制

その結果、2021年の石炭生産量は41億3000万トンに達し、それ以前の最高記録だった2013年の39億7000万トンを超えた。2022年の生産量は、そこからさらに10%余り上乗せした45億6000万トンに増加した。

信達証券がまとめたデータによれば、国家発展改革委員会と(エネルギー政策を所管する)国家能源局が2023年1月から11月までの間に認可した石炭の新規生産枠は合計3570万トンに上った。

石炭の供給増加とともに、市場価格は国家発展改革委員会が正常と見なす価格帯に低下して落ち着いた。1キログラム当たり発熱量5500キロカロリーの発電用石炭のスポット価格は、1月16日時点で1トン当たり915元(約1万8800円)。これは1年前とほぼ同水準だ。

中国の石炭生産は、マクロ経済の変動と中国政府の産業政策の影響を強く受ける。2014年から2016年にかけては、中国経済の成長ペースが鈍化するなかで生産量が3年連続減少。多数の炭鉱が赤字に転落したため、中国国務院は2016年2月、新規炭鉱の建設認可を3年間停止すると通達した。

中国政府は同時に、生産効率が低かったり安全対策に問題があったりした炭鉱の閉鎖を進めた。業界団体の中国煤炭工業協会の資料によれば、13次五カ年計画(2016~2020年)の期間中に淘汰された炭鉱は生産能力換算で年間10億トン超に上る。

その後、中国経済の復調に伴って石炭需要が回復に転じ、2017年以降の生産量は7年連続で増加し続けている。

供給の柔軟性損なうリスク

そんななか、石炭業界内では将来の増産余地の払底を懸念する声が上がり始めている。中国国内の(優良な)石炭資源には限りがあるからだ。

「政府の強力な増産政策は、多数の炭鉱で超過採掘を招いた。生産設備の稼働率は上限いっぱいに達しており、今後は(経済的に採掘可能な)資源量の減少や石炭の品質低下が予想される。現水準の生産量を維持するのは困難であり、(市場の変化に対応するための)供給サイドの柔軟性が損なわれるリスクがある」

財新記者の取材に応じた石炭業界のベテランアナリストは、そう警鐘を鳴らした。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は1月17

財新 Biz&Tech

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