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マンション高齢化に潜む"見えない"配管のリスク 負担増を避けたい、まずは「知る」ことから

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 12時10分

さらに消火管の場合、湿気が多い地下などに埋設されていることも少なくない。条件によってはネジ部分がさびてしまって穴が開くなどし、耐用年数を迎える前に不具合が生じることも想定される。

また配管トラブルが発生後、劣化対策としてどのような工事を行うかについても考える必要がある。劣化した配管を取り除き、新しい配管に取り換える「更新」と、現状の配管を生かした「更生」の選択肢があるためだ。

更生は、配管内部を洗浄し、新たに樹脂などを塗布して皮膜を張ることで配管の延命を行う工法だ。工期は短めで、コストも抑えられるメリットがある。ただあくまで延命処置にすぎず、後々更新工事を行う必要も出てくるのが難点だ。

さくら事務所では、飲料水などに用いる給水管にはできる限り更新工事をおすすめしている一方で排水管に関しては、状況次第では更生工事の選択肢でも問題ないと考えている。給排水管の材質や現状を知っていれば、このような柔軟な対応も可能となる。

先ほど「給排水管の寿命は約35~40年」とご紹介した。この数字を聞いてお気づきになった方もいるかもしれないが、実は3回目の大規模修繕工事の周期と重なっているのだ。

大規模修繕工事の3回目といえば、マンションの経年劣化がより目立ち始める時期でもある。給排水管だけでなく、サッシやドア、電気系統までさまざまな部分について改修を検討しなければならない。

事前に行う劣化診断でも「給排水管」の劣化が認められ、「2、3年以内に改修が必要」との報告が管理会社から上がってくるケースが多い。長期修繕計画上も赤字で余裕がないうえ、その他の箇所も改修しなければならないとなると、どのように優先順位をつけるべきか管理組合としても思案どころだ。

さらに、給排水管に関しては、共有部分だけでなく専有部分も関係している。マンション全体の劣化状況を判断し工事を進めるためには、専有部分である住戸内の共用配管を確認し、見積もりを作成する必要があるためだ。

例えば排水竪管を確認するためには、専有部に入り、壁を壊して開口しなければならないこともある。居住者にとって負担も大きく、丁寧な合意形成が求められる。また専有部分の状況によっては、具体的な見積もり後にも予備費を設けておく必要もある。

大規模修繕ありきの工事を見直すべき

専門的すぎて工事の妥当性の判断、費用負担などが難しい場合には、専門のコンサルタントに橋渡しを依頼するのも一案だ。公平性を持ってしっかりとジャッジメントしていくために、専門知識の通訳ともいうべき、第三者のコンサルタントの力を借りるメリットは大きい。

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