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キヤノンに見える「事業、経営陣、対話姿勢」の変化 次代の新取締役「海外営業の実力者」は副社長に

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 7時0分

キヤノンメディカルシステムズが手がけるCT(コンピューター断層撮影装置)などの医療機器を成長領域と位置づけている(撮影:尾形文繁)

キヤノンが1月30日、2023年12月期決算を発表した。売上高は過去最高を記録した2007年に次ぐ水準の4兆1809億円(前期比3.7%増)。営業利益は3753億円(同6.2%増)だった。2024年12月期の業績見通しは売上高が4兆3500億円、営業利益が4350億円、と大幅な利益増を見込む。

【写真】次世代のキヤノンを担うとみられる小川一登・専務執行役員(写真のいちばん左)は取締役副社長に昇格

注目すべきは増益要因の一つとなる医療機器事業、そして新たな顔ぶれが加わる経営陣、株式市場との対話の姿勢だ。いずれもキヤノンの変化をとらえるうえで見逃せない。

キヤノンは事務機とカメラを主軸とした事業構成を変えるべく、商業産業印刷や医療機器、監視カメラなどより成長性の高い新規事業を育成してきた。これらは現在、全社売り上げの3割弱を占めるほどになった。

2011年以来の営業利益率2桁を見通す

その甲斐あって売上高は、ペーパーレス化やスマートフォンの普及といった逆風が吹く前の水準にまで回復した。一方、成長途上にある新規事業は投資がかさむため、過去には15%ほどあった営業利益率は、2023年には9%になっている。

しかし2024年は10%と、2011年以来の営業利益率2桁を見込む。カギを握るのは、採算の低い状態が続く医療機器だ。

医療機器の2023年の事業別営業利益率は5.7%。半導体露光装置など産業機器の18.6%やカメラの16.9%、印刷関連の9.7%と比べると物足りない。だが、決算説明会で浅田稔専務執行役員は次のように宣言した。

「早期に2桁の利益率を達成し、BIG3(ゼネラル・エレクトリック、フィリップス、シーメンス)に伍していける盤石な経営基盤を構築する」

この計画の達成のために立ち上げたのが、全社組織となる「メディカル事業革新委員会」だ。

キヤノンは2016年、東芝メディカルシステムズ(現・キヤノンメディカルシステムズ)を買収し医療機器事業に本格参入した。以来、業務や開発体制などの統合作業をしてきた。

そこでやり残した点を完成させ、買収シナジーをより高めることが委員会の狙いだ。これまでもキヤノンの技術投入によるコストダウンや製品開発を行ってきたが、生産、調達、販売といったすべての面で、キヤノンのノウハウを投入する。

新副社長の小川氏が販売改革に着手

決算と併せて公にされたのが新たな経営幹部の布陣だ。3月末の株主総会での承認を前提に、「次世代」である3人の執行役員が取締役に昇格することはすでに発表されていた。その1人、小川一登・専務執行役員が取締役副社長に就任することが今回明らかにされた。

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