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日本の会社から「出禁」になったフランス人の発言 外国人が日本人と会議をするときの「あるある」

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時40分

一方、日本の顧客に対しても外国人との会議では「本音」を話してもらうように根回しした。とはいえなかなか会議の場にふだん付き合いのない外国人がいると本音で話しにくい。

そこでそうした会議の場では事前にヒアリングしていた顧客の本音を誘導尋問の形で会議の場で発言を促していた。その会議の結論をその場でホワイトボードに書き出し、海外本社のメンバーと顧客とでズレないように確認した。

さらに海外本社のメンバーと顧客とで会食をして、時にはカラオケに行ったりするなど、お互いの距離感を縮める場を設けた。時間と手間はかかるがこうした手順を繰り返すことで外国人と日本の顧客との関係が深まっていった。ビジネスの話をする前にこうした相互理解の関係を作ることは重要だ。

日本人の「建前」で外国人が困惑することを紹介した。次に外国人の「本音」で日本人が困惑する事例を紹介したい。

1994年から12年間、勤めたフランスのタイヤメーカーの日本法人での出来事だ。日本の自動車メーカーの設計エンジニアから、「自社の車をフォルクスワーゲンのような車にしたいのでゴルフに採用されている御社のタイヤを使いたい」という話が舞い込み、ビジネスチャンスだと日本法人のメンバーは大いに沸いた。

ところが、海外本社から来たフランス人のタイヤ設計責任者は、その顧客に「タイヤだけ変えてもダメですよ。タイヤと車体をつなぐ部分の設計を全部見直す必要がある。うちで設計までやりましょうか」と提案した。日本の顧客はこの言葉に激怒して、「出入り禁止」のような状況になってしまった。

フランス人エンジニアにすれば、そうした開発をする能力もあり、ヨーロッパの自動車メーカーとはそのような開発を共同でやっていることも多かったので、彼にとっては「普通の提案」だった。しかし、日本で部品メーカーがこのように直接会議の場で思ったことをそのまま発言することは当時なかったので、日本の顧客は困惑したのだ。

欧米では自分の意見を述べることが「誠実な態度」

欧米では会議において自分の意見をきちんと述べないことは、その会議に対しても会議の参加者に対しても「不誠実だ」と考える。当然、TPOに応じた振る舞いは求められるが「場の空気を読んだり」、相手の気持ちを「忖度する」ことは念頭にない。自分の意見を述べることこそ誠実な態度だと考えている。

その後、日本の顧客との関係修復のためにそのエンジニアをヨーロッパ本社の開発センターに招待。世界中の路面が再現されているテストコースや、車両の開発評価ができる施設などを見てもらい、その機会にヨーロッパの道路を一緒に日本製の車とヨーロッパ製の車を乗り比べながら1週間ほど一緒に過ごす機会を設けた。

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