前橋・京都市長選の結果にみる「自民離れ」の深刻さ 保守王国でも大敗、裏金事件に有権者の怒り
東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時10分
そのうえで「最大の要因は、『本来なら現職候補を支持してもらえるはずの保守系の票』の一部が、相手候補に取り込まれたことだ!! 加えて、『無党派層からの支持』という点で、終始、新人候補に大きく水を空けられていたことも、主要な敗因の1つだろう」と分析し、「30年近い政治家としてのキャリアの中で初めて目撃した現象」と驚きを隠さなかった。
京都は福山氏が「負けても勝利」と胸張る
一方、京都市長選は、自民、立憲、公明、国民民主の4党が推薦した元官房副長官で新人の松井孝治氏が、共産党が支援した弁護士の福山和人氏と「大接戦の末の辛勝」(自民府連)を余儀なくされた。
選挙戦は4期16年務めた前市長・門川大作氏の引退表明を受け、新人5人の争いに。その中で、松井氏は、自民、立憲など4党に加え、門川氏や各経済団体、連合京都などから幅広い支援を受け、「非共産候補」として万全の態勢で圧勝を狙った。
しかし、共産党支援の福山氏に得票率で約3.5ポイント(約1万6000票)差まで迫られた。各中央紙の出口調査などでは、投票した有権者の6割超が「政治とカネ」の問題を考慮したと回答するなど、自民の裏金事件への有権者の厳しい判断が、大接戦の要因となったのは間違いない。
選挙戦序盤から防戦を強いられた松井氏陣営は「自民色を前面に出すのは逆効果」と判断し、自民執行部も党幹部の応援演説を控えた。このため、自民府連は松井氏の当選を受け「膿(うみ)を出し切って、国民の政治不信を払拭(ふっしょく)しなければならない」と厳しい表情で語った。
自民に代わって選挙戦を主導した岡田克也・立憲幹事長は5日、「自民はほとんど動けなかった。やはり自民に対する逆風はあると思う」と思わざる辛勝に肩を落とした。対照的に、敗北した福山氏は「政治に対する市民の不満がマグマのようにたまっていた。ここまで肉薄できたのは市民の勝利だ」と胸を張った。
両市長選結果の最大の特徴は、投票率が上がらなければ有利となるはずの組織票を持つ自公支援候補が、保守層が敵視するはずの共産系候補に惨敗や苦戦するという「これまでにない戦いの構図」となったことだ。特に出口調査などでの無党派層の支持動向をみると「自民支持の激減」は明らか。だからこそ、4・28統一補選への自民の危機感が広がるのだ。
「4・28補選」は「自公VS乱立野党」の構図に
その統一補選だが、現状では細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、柿沢未途前法務副大臣の議員辞職に伴う東京15区、裏金事件で立件された谷川弥一前衆院議員の議員辞職に伴う長崎3区の3か所となる見通し。この3補選で自民の司令塔となる茂木敏充幹事長は2月1日のBSフジ「プライムニュース」で「2つ不戦敗はありえない」として最低でも2つの補選での候補者擁立を明言した。
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