「ソニー」が引き金に?決済ビジネス再編の足音 米投資ファンド「ソニー銀行子会社」買収の思惑
東洋経済オンライン / 2024年2月9日 7時30分
ソニーの看板を掲げ、成長市場で存在感を示し、自前のネットワークも有するSPSV。一見恵まれた環境に映るが、実情は異なる。
【2024年2月9日9時45分追記】上記図表の単位を修正しました
一因はSPSVの株主構成にある。ソニー銀行の子会社であるSPSVは、銀行法が定める「5%ルール」の対象だ。銀行とその子会社は、事業会社への5%を上回る出資が禁じられている。
この5%ルールがSPSVの足かせとなった。同業他社を買収して決済件数や取扱高を拡大させたり、e-SCOTTの利用を促したりする戦略が、事実上封じられたためだ。実際、SPSVは過去にM&A(企業合併・買収)を検討したこともあったが、5%ルールが壁となり断念した。
加えて、個性であるはずのe-SCOTTもCAFISとCARDNETの牙城を崩せず、国内のシェアは数%にとどまるもようだ。
思うような成長ができないSPSVの売却論は、コロナ禍前から浮かんでは消えていた。数多くの事業を抱えるソニーグループにとって、決済代行は非中核だ。とはいえ、毎年安定して黒字を計上するSPSVを急いで売却する必要性も薄い。
棚上げされていたSPSVの処遇にけりをつけたのが、ソニーグループの十時裕樹社長だった。2022年秋口、SPSVの売却話が十時氏に伝わると、「中村(英彦社長)がやりたいなら、いいんじゃないか」と快諾したという。
「(SPSVの売却は)十時氏でなければ決断できなかった」。ある投資ファンドの幹部は指摘する。成長性や資本効率の観点から、多角化が進んだ事業の取捨選択に十時氏が踏み切っていたからだ。
その象徴が、ソニーの金融事業を束ねるソニーフィナンシャルグループ(FG)の分離だ。かつての稼ぎ頭は、今や半導体やエンタメ事業の台頭により存在感が低下。資本効率も相対的に劣るため、金融事業を分離する機運が高まった。そして2023年5月、ソニーグループは2~3年後をメドにFGの持ち分比率を現在の100%から2割前後まで引き下げると表明した。
FGにとっても非中核
SPSVをめぐる交渉は、ソニーFGの議論と並行して進んでいた。FGがグループから外れれば、傘下のSPSVも自動的にグループから外れる。だが、銀行や保険、介護事業を抱えるFGにとっても決済代行事業は非中核で、保有する意義を投資家に説明しにくい。こうしてFGに先立ち、SPSVがグループから切り離されることとなった。
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