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肉系に強い松屋が「おしゃれパスタ」を始めた理由 およそ5年ぶりとなる新業態の店舗をオープン

東洋経済オンライン / 2024年2月10日 7時50分

そのため、2023年3月期の売上高における牛丼カテゴリー比率は全体の33%にすぎない。幅広い収益源を確保していることがわかる。

喫緊の課題である新業態の育成を急ぐ松屋フーズが、新業態としてパスタを選んだ理由は、調達する食材の分散化がある。

松屋フーズの主力は松屋であり、どうしても牛肉や米が仕入れの多くを占めるが、この点、パスタ業態となるとメイン食材は小麦粉になる。調達する食材の偏りを緩和することができれば、食材価格が乱高下している中でも、その影響を小さくすることができる。

実際に、ウクライナ侵攻後に価格が上昇していた小麦は、アメリカでの豊作などの影響により、足元では価格が低下している。一方で、牛肉の価格は足元で上昇している。「牛肉や米がメインの牛めしと小麦粉が中心のパスタは、収益の安定化という意味ではいい組み合わせなのではないか」と、前出の飲食業界関係者は指摘する。

松屋フーズは新業態の育成のほかにも、松屋の複合店化を打ち出していた。2019年から導入している複合店は、松屋と松のや、松屋とカレー専門店「マイカリー食堂」などの組み合わせがある。

複合店は直接的には多様な客層の取り込みや、1店舗に複数ブランドがあることによる客数の増加により売上高を拡大させる狙いがある。さらに、松屋以外のブランドの認知度を高める効果も期待できる。

複合店の出店を進め、2月8日時点で全店舗の約3割にあたる355店舗まで拡大した。今後も、新店舗の出店時や改装の際に、複合店化を進める。

麦のトリコは単体での出店を模索

一方で、今回出店した麦のトリコは複合店では展開せずに、今後も単体での出店となりそうだ。店内に製麺機を設置し、作りたての生パスタを提供するのが売りで、ごはんを提供する松屋などどはオペレーションが異なる。

麦のトリコは2号店以降の出店予定は現時点ではないが、「客数の動向などを注視して、出店を計画していく」(松屋フーズ広報担当者)とする。

松屋フーズはコロナの影響が薄れ、今2024年3月期については売上高1257億円(前期比17.9%増)、営業利益45億(同206%増)と、急回復を算段する。さらなる成長へ、牛丼一本足打法から脱却することはできるのか。パスタ店の育成はその試金石となる。

金子 弘樹:東洋経済 記者

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