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清水建設「女子社員の寝坊で炎上」に潜むギャップ 動画をしっかり見ると印象も変わるが…

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 17時30分

なぜ、ここまで炎上してしまったのか。

ひとつは「ガイアの夜明け」が報道番組として位置づけられている点が考えられる。取材先の不利益になる内容でも、実際に現場で起きたことであれば、リアルな光景をそのまま流す。それがドキュメンタリーだ。

番組公式サイトには、「あくまで報道番組の視点から番組が独自に取材対象の選定にあたっています」との一文がある。事実、これまでも「アリさんマークの引越社」の長時間労働や、「レオパレス21」の施工不良など、CMを大量出稿している企業にも、するどいメスを入れてきた。

カメラがとらえた事実が、忖度なく流される前提の上で、さらなる炎上要素となるのが「社内外の温度差」だろう。場合によっては「業界内外の温度差」になることもあるが、「中の人」としては当たり前だと感じている商慣習や社内風土でも、一般社会に照らすと非常識にあたる場合は少なくない。

報道と温度差の2要素によって、世間とのギャップが可視化される。ガイアをめぐっては、こうしたケースが珍しくない。

有名なのが2017年に紹介された、キリンビール社内の飲み会だ。販路拡大を求められる営業担当者が、先輩の説教に涙する様子に「パワハラではないか」との指摘が相次いだ。

営業部隊には、一般的に体育会系のイメージがある。また、キリン回が放送された6年前であれば、いまほどハラスメント意識は高くなかった。それでもパワハラだと受け取られ、炎上してしまったのは「カメラを通すと、どう見えるか」を予測できていなかったことに他ならない。

ガイアや、姉妹番組といえる「日経スペシャル カンブリア宮殿」などの経済ドキュメンタリーは、会社ごとに異なる企業風土を「社員・経営者のふるまい」から浮き彫りにして、それぞれの「社内での当たり前」と一般常識をすりあわせることで、面白みが出てくる番組スタイルだ。

毎週のようにSNSで話題になる「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)も、取材対象がビジネスパーソンかどうかの区別はあるが、ガイアと同じ構図だ。登場人物と世間とのギャップをつぶさにとらえ、ドキュメンタリーとしてコンテンツ化することで、人気番組になっている。

とはいえ、筆者は別に「世間とのギャップ」を否定したいわけではない。とくに経済界においては、むしろギャップがあるからこそ、そこに商機が生まれる。常識にとらわれず、トガっている企業でないと、高みを目指すのは難しいだろう。

一般社会との温度差を認識できているか

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