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「杉並区初の女性区長」撮った映画が共感集める訳 Xでも「やっと入れたの声」、異例のヒットが続く

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 12時30分

しかも政治に絶望してきた人たちに希望を感じさせるということでは、これから地方での公開が続いていったときに面白い現象になっていくように思います」(大槻さん)

映画のポスターを背中にかけて宣伝

こうした反響に対して、本作監督のぺヤンヌさん自身はどう見ているのだろうか。

「皆さんそれぞれで、ネットの番組で知りましたとか、杉並の友達に誘われてとか、いろいろなきっかけで足を運んでくださったようです。仙台から来ましたという人や、近所のお宅の壁に映画のポスターが貼られているのを見て、という人などさまざまです」

ぺヤンヌさんの本作の宣伝スタイルも、演劇活動で培った「手作り」で、実に独特だ。取材をした当日は舞台挨拶が行われた日だったが、舞台挨拶用に映画のポスターを貼った段ボールを背中にかけて劇場まで来たという。

「家から商店街を歩くだけで、『いまやっているよねぇ』とか、総武線の電車の中でも『ああ、区長の』と声をかけてもらえたので、びっくりしました。選挙もそうですけど、自分ひとりでもやれることはなんだろうかと考え、行動しているところを発信するのがいいんじゃないのかなと思ってやってみました」(ペヤンヌさん)

本作が多くの人々から共感を集めているのは、何をやっても政治は変わらないと無力感に陥っていた人たちに「希望を抱かせる」、「自分ごとになる」という視点だ。

ペヤンヌさんも、「私が住むアパートが都市計画道路の拡張でなくなるんです。それまで政治に関心なかったのが、個人的な生活の危機を感じて選挙に興味を抱いて、撮るようになりました」と語る。

そのため、選挙が持つ政治的な側面だけではなく、それにかかわる人々の生活も丁寧に映し出されている。

例えば本作の主人公である岸本さんが、朝食を食べたり、「私、早いの。いつも10分だから」と化粧をするシーンも撮影されている。

「岸本さんにドキュメンタリーを撮りたいといったときに、『私はNGないから。なんでも撮っていいよ』と言われました。泊まり込みで撮影できる日をもうけてほしいと言ったら、『ああ、いいよ』と出会って2週間ぐらいの日に。隣で寝ているのも撮ったりしたんですけど、それはさすがに(笑)。

岸本さんのNGはなかったですね。最初から。でも、選挙が間近になってピリピリして、さすがに撮りつづけているとストレスだろうという日は、ひとり街宣(住民有志が区内18の駅頭に候補者の代わりに立つ)している人たちを撮っていました」(ペヤンヌさん)

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