1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

近鉄特急の陽キャ「伊勢志摩ライナー」の持ち味 1994年登場、サロンカーがリゾート気分を演出

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 6時30分

ぜいたくな仕様は外観や内装ばかりではない。モーターとブレーキの性能を高め、国内の大手私鉄で初めて最高速度時速130kmの営業運転を実現している。

同社が新型特急車両の建造を発表した1993年7月1日付の報道資料によると、登場時の車体カラーは「リゾート法第一号のサンベルトゾーンを意識したイエローを基調にホワイトを配したツートンカラーで、一部にアクセントのブルーを加え伊勢志摩リゾートのイメージを強調した」という。

リニューアルで赤い車体が登場

2013年の伊勢神宮式年遷宮に合わせて、ハイデッカー車両で車窓の眺めがよく、座席はすべて3列配置、さらに近鉄特急伝統の2階建て車両を連結した豪華な仕様の「しまかぜ」が登場している。

伊勢志摩ライナーはその前年からリニューアルを実施した。車体カラーを赤色と黄色の2種類とし、「伊勢志摩の太陽と陽射しを表現」した。座席には電源コンセント、全トイレに温水洗浄便座を導入。デラックスカーの壁面には真珠の装飾も取り付けた。

登場時は両端の車両のみが禁煙車だったが、全席禁煙として賢島方から3両目に喫煙室を設けた。2024年3月1日以降はその喫煙室も廃止されることになった。

大阪・京都・名古屋という近鉄が拠点とする大都市と伊勢・鳥羽・志摩の観光地を結ぶ伊勢志摩ライナー。土休日の11~13時台には、近鉄名古屋、大阪上本町、大阪難波、京都の各駅発の6本の伊勢志摩ライナーが賢島に到着する。さらに3本の「しまかぜ」がやってくる。鳥羽―賢島間の志摩線は特急街道の性格が強い。

一方、奈良―大阪難波間、京都―奈良間、京都―橿原神宮前間など、“伊勢志摩を走らない伊勢志摩ライナー”もある。

伊勢志摩ライナーがデビューした1994年は名車両が豊作の年。鉄道友の会が選ぶ翌年の「ブルーリボン賞」は南海電気鉄道の50000系「ラピート」、「ローレル賞」はJR北海道のキハ281系「スーパー北斗」だった。伊勢志摩ライナーは両賞の選考に漏れたが、鉄道分野で国際的に権威があるという「ブルネル賞」奨励賞に選ばれている。

同社技術管理部の奥山元紀さんは「30年前にリゾート地へお客さまを運ぶために登場した伊勢志摩ライナーは観光特急の先駆け的な存在。手軽な値段で利用できるサロン席やデラックス席を備え、現在の主役『しまかぜ』を補完する役割を担っている」と話す。

トレンド入りする志摩スペイン村

伊勢志摩ライナーが発着する賢島は2016年の主要7カ国(G7)伊勢志摩サミットの開催で国内外から注目されたほか、2023年にはG7三重・伊勢志摩交通大臣会合の会場になった。

同い年の志摩スペイン村は最近、アトラクションの「待ち時間ほぼゼロ」といった自虐ネタや、Vチューバーの「周央サンゴ」さんとのコラボでSNSを中心に話題にのぼる機会が増えた。2024年はさらに「壱百満天原サロメ」さんも加わって集客に拍車をかける考えだ。

ちょっとリッチなリゾート特急の旅を手軽な値段で楽しめる、伊勢志摩ライナーにも改めてスポットライトが当たる場面があるかもしれない。

橋村 季真:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください