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中国の小学生に「ウルトラマン・トレカ」が大流行 版権取得した中国企業が香港証取に上場申請

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 18時0分

中国での「ウルトラマン・トレカ」の人気は、カーヨウを香港証券取引所のメインボード上場を狙えるまでに成長させた(写真は同社の公式ウェブストア)

中国の小学生の間で「トレーディングカード(トレカ)」が大流行している。そのブームをつかんで業績を拡大し、IPO(新規株式公開)を目指す企業が登場した。浙江省に本社を置く卡游動漫(カーヨウ)だ。

【写真】カーヨウは低年齢層へのトレカ販売に注意を払い、「未成年者の消費に制限を設け、正しい消費行動・習慣に導きます」とウェブサイトで公約している。

同社は日本発の人気キャラクター「ウルトラマン」のトレカの企画、生産、販売を手がけている。ウルトラマンのトレカは、さまざまなトレカのなかでも中国の子供たちに特に人気が高い。カーヨウは香港証券取引所のメインボードへの上場を狙い、1月26日にIPOの目論見書を提出した。

米国に次ぐ世界2位の大市場に

中国のトレカ市場は、ここ数年の間に目を見張る急成長を遂げた。中国のコンサルタント会社、灼識諮詢(チャイナ・インサイツ・コンサルタンシー)のデータによれば、売買総額ベースで見た市場規模は2017年の7億元(約146億円)から2022年には122億元(約2538億円)に拡大。国別ではアメリカに次ぐ世界第2位の大市場になった。

カーヨウ創業者で董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める李奇斌氏は、現在51歳。2008年に印刷会社を起業した後、2011年にカーヨウを設立し、2018年にウルトラマンの(トレカを展開する)版権を取得した。

IPOの目論見書によれば、カーヨウは2022年に41億3100万元(約859億円)の売上高と、16億2000万元(約337億円)の調整後純利益を稼ぎ出した。同社はウルトラマン以外のトレカやその他の玩具・文具も取り扱うが、売上高の大部分をウルトラマンのトレカが生み出している。

子供たちがトレカに夢中になる理由の1つは、購入後に袋を開けるまでどのカードが入っているかわからない仕組みにある。そのため、トレカにはギャンブル性があると指摘する専門家もあり、未成年が依存症になったり非理性的な消費に走ったりするリスクについて論議を呼んでいる。

類似のビジネスモデルをとる商品に「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれる、箱を開けるまで何が入っているかわからない玩具がある。中国では4~5年前から、若者の間でブラインドボックスが大流行。それを受けて、中国国家市場監督管理総局は2023年6月、8歳以下の子供へのブラインドボックス販売を禁じる暫定ガイドラインを発表した。

ギャンブル性への規制リスクも

だが、トレカに対して同レベルの規制を適用すべきかどうかの議論は、まだ結論に至っていない。なお、カーヨウは将来的にトレカが規制対象となるリスクを認識しており、監督当局による制度変更が事業に重大な影響を与える可能性を目論見書(の事業リスク項目)に明記している。

カーヨウはすでに自主規制も導入している。同社が2022年4月に公表した「約束」によれば、8歳未満の子供が実店舗で同社のトレカを購入する場合には、保護者の同伴が求められる。

また、8歳以上の未成年が一度に200元(約4160円)超の買い物をする場合には保護者の同意が、1カ月の累計購入額が1000元(約2万800円)を超える場合には保護者の同伴が必要と定めている。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は1月27日

財新 Biz&Tech

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