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日本酒「純米酒」「吟醸」の違い、正確に言えますか? 「日本酒」よく飲む人も意外に知らない"超基本"

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 12時1分

種類も豊富で身体も温まる日本酒で、寒い冬を乗り切りましょう(写真:kotoru/PIXTA)

70万部の大ベストセラー『食品の裏側』の著者、安部司氏が開発した8万部突破のレシピ集『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』に続き、『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん2 ベスト107レシピ』が発売され、発売7日で増刷するなど反響を呼んでいる。

【写真で見る】「魔法の調味料」なら超簡単!酒のつまみにも最適!絶品「安部ごはん」

『食品の裏側』発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、安部氏が自ら15年かけて開発した膨大なレシピノートの中から、「簡単に時短に作れるレシピ」を厳選したレシピ集だ。

いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が「『日本酒』をよく飲む人も意外に知らない"超基本"」について語る。

*日本酒シリーズ1回め:日本酒「"添加物"で伝統的造り方が減少」は問題か

*日本酒シリーズ2回め:日本人が知らない「激安お酒」のヤバすぎる裏側

「純米酒」と「吟醸」の違い、答えられますか?

「日本酒『"添加物"で伝統的造り方が減少』は問題か」「日本人が知らない『激安お酒』のヤバすぎる裏側」と酒の記事を書いてきました。

今回は「純米酒」と「吟醸」の違い、「特別本醸造」「特別純米酒」の「特別」とは何か、そして本当においしい酒の選び方について述べたいと思います。

たとえば「純米酒」と「吟醸」、この2つはよく混同されています。

前々記事「日本酒『"添加物"で伝統的造り方が減少』は問題か」で「高級酒ブームが来ている」と述べましたが、大変失礼ながら、この2つについて知らないままに「高級酒ならおいしい」と思って飲んでいる人もいるようです。

せっかく高いお酒を飲むのなら、見分ける目を持って、本当においしいお酒を選んでいただきたいと思います。

日本酒で一定の条件を満たしたものは「特定名称酒」と呼ばれ、法律(酒類業組合法)によって8種類に分類されています。 

ややこしい「日本酒の分類」がスッキリわかる!

まず「純米酒」とは「米」しか使っていないお酒のことです。前記事で説明したような「醸造アルコール」は添加されていません。

これに対して「吟醸」とは米をどのぐらい削るか(精米するか)によって決まってきます。吟醸は60%以下、大吟醸は50%以下まで精米します。

米は外側部分にたんぱく質が多く、内側に糖質が多いので、しっかり削って中の方だけ使えば、その分糖分が多くなって甘みのある酒ができるのです。「吟醸・大吟醸」は「醸造アルコール」を使ってもOKです。

ちなみに純米酒は精米歩合は定められていませんが、だいたい70%ほど精米するのが一般的です。

要するに「純米酒」と「吟醸・大吟醸」は分け方の違いによるものです。

純米=「醸造アルコール」を添加していない、米だけの酒
吟醸・大吟醸=米の磨き方/米の精米レベルで決まる

この「純米酒」と「吟醸」の組み合わせで「純米吟醸」「純米大吟醸」というものがあります。「純米吟醸」は精米度60%以下の米だけで作られた酒、「純米大吟醸」は精米度50%以下の米だけで作られた酒です。

「特別本醸造」や「特別純米酒」など「特別」が冠についた酒もありますが、この「特別」に基準があるわけではありません。メーカーごとに申請し、許可が下りれば使用できます。

時々「吟醸・大吟醸は高級な酒なのに、なぜ『醸造アルコール』を使っているのか」という人がいるけれど、「醸造アルコール」を使っているからといってダメというわけではありません。

前記事でも述べたように、「醸造アルコール」を使うことでキレやさわやかさを出すこともできるからです。

「味を追求した結果として、うちでは『醸造アルコール』を使用し、『純米大吟醸』は作らない」と宣言しているこだわりの酒蔵もあるほどです。

米を研げば研ぐほど、本当にいいの?

もうひとつ吟醸で問題となるのは「米を精米(研ぐ)すればするほど、いい酒ができるのか」ということです。

米は外側はたんぱく質が多く、内側は糖質が多いと言いましたが、たんぱく質がアミノ酸に変わることでうま味が出るわけです。ということは、たくさん研ぐことで、うま味も失われるということになります。

実際に65%研いだものと75%研いだものでは酒の出来上がりがまったく違います。60%まで研ぐと、甘みは出ますが、酒の風味自体はなくなります。

ただ、酒の味は酵母、麹によって大きく異なるので、一概にいうことはできません。

【「純米酒」の原材料例】
米、米麹/精米歩合73%

【「吟醸」の原材料例】
米、米麹、醸造アルコール/精米歩合45%

【「特別本醸造」の原材料例】
米、米麹、醸造アルコール/精米歩合55%

酒の分類はいろいろあって混乱しますが、要は「純米酒」と「吟醸」の違いは「原料」と「米の精米歩合」の違いと考えていただければいいと思います。

後はこの組み合わせで、好みの酒を選べばいいのです。

「純米酒」「吟醸」の区分、そして「『1本の純米酒』から『何本もの安いお酒』ができる裏側・カラクリ」については、おかげさまで70万分を超えるベストセラーになった拙著『食品の裏側』でも、くわしく解説しています。

興味のある方は、ぜひご一読ください。

私の好みを言うならば純米酒で、精米度70%ぐらいのものが好きです。

この組み合わせがコクと深みがあって一番おいしいと思うからです。

種類を選びながら飲むのも、日本酒の楽しみのひとつ

あるいは「特別本醸造酒」の「醸造アルコール」入りの銘柄で好きなものがあって、これもよく飲みます。安くておいしいから、気兼ねなくグイグイ行けます(笑)。

酒屋にこの話をしたら「それは典型的な飲み助ですね」と笑われました。

こうやってあれこれ種類を選びながら飲むのも日本酒の楽しみの一つです。

「安部ごはん」「安部ごはん2」のレシピでおいしいつまみを作って一杯やるのは、お酒の好きな人には最高です。「おいしいおつまみ」は「おいしいお酒」の味を、さらに引き立てるものです。

ぜひみなさんも、日本酒の「裏側」を知りつつ、いろいろ試して飲んで、日本酒を楽しんでいただきたいと思います。

安部 司:『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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