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紫式部と藤原道長は「恋愛関係」にあったのか 歴史学者や作家たちの見解を通して分析する

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 12時30分

紫式部(まひろ)を演じる吉高由里子さんと、道長を演じる柄本佑さん(写真:NHK公式インスタグラムより引用)

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は紫式部と道長が恋愛関係にあったのか否か、かねて続く議論を紹介します。

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道長の妻妾たちと式部の共通点

藤原道長と『源氏物語』の作者・紫式部は、愛人関係にあった(式部は道長の妻妾だった)とする説は、昔からあります。

【写真】紫式部(まひろ)を演じる吉高由里子さんと、道長を演じる柄本佑さん

例えば、歴史学者の角田文衞氏(元・大阪市立大学教授)は「道長が紫式部を妻妾とし、そのうえで彼女を新皇子につける腹心の官女にしようと意図したとみるのは、極めて自然で無理のない推測とされるべきである」としています。

道長が妻妾としたのは、藤原為光の4女・5女、源重光の娘、大納言と呼ばれた女性の4人であり、その共通点は、道長の一家と血縁的に近く、未亡人、そして、道長の娘かその皇子に仕えている官女で中年女性です。これに式部も当てはまり、道長に好意を寄せていたから、2人(道長と式部)は男女の関係にあったと、角田氏は考察しています。

確かに『紫式部日記』を読み解くと、式部は道長を「お姿のなんと立派なこと」「素晴らしい」などと記しています。嫌悪感を持っていないのはたしかです。

しかし、肝心なのは、2人が恋愛関係にあったか否かでしょう。

まず、道長と式部は歌を詠み合う仲ではありました。『源氏物語』が、式部が仕える中宮・彰子の御前に置かれているのに目を留めた道長は、式部とよもやま話をしますが、梅の下に置かれていた紙に次のように書いたとされています。

「すきものと名にし立てれば見る人の折らで過ぐるはあらじとぞ思ふ」(梅の実は酸っぱく美味であるから、枝を折らずに通り過ぎる者はおるまい)

これには「色恋沙汰の好き者と評判の貴女。そんな貴女を口説かずに素通りする男はおるまい」との意が込められていました。今ならセクハラだとして道長は訴えられそうですが、これに式部はどう返したのでしょうか。

「人にまだ折られぬものを誰かこのすきものぞとは口ならしけむ めざましう」と式部は返歌します。

「梅はまだ人に折られてはおりませんのに、誰が酸っぱい実を食べて、口を鳴らしたのでしょう」(私には男性の経験などまだありませんのに、誰が好き者だなどと噂を立てているのでしょう。心外です)との意味になります。見事な返しではあります。

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