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中国CATLが「洋上風力発電所」を自ら建設の狙い 総投資額2680億円。本拠地の福建省の沖合に

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 16時0分

CATLが本拠を置く福建省の沿海部は強風の日が多く、洋上風力発電所の建設に適している(写真は国有発電大手の長江三峡集団のウェブサイトより)

中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は、本社所在地の福建省寧徳市の沖合に大規模な洋上風力発電所を建設する。福建省発展改革委員会が1月29日、寧徳沖の「深水A区」と呼ばれる指定海域での建設を認可したことを公表した。

【写真】CATLが本拠を置く福建省寧徳市には、同社を頂点とする電池関連産業が集積している(寧徳市政府のウェブサイトより)

開示情報によれば、この洋上風力発電所の発電設備容量は800MW(メガワット)。風力発電装置と同時に、洋上変電設備や陸上の運転制御センター、(電力を一時的に蓄える)蓄電システムなどの付帯施設も整備する。

建設主体となる潤時海上風電には、CATLの100%子会社の時代緑色能源が(資本金の)96%を出資。プロジェクトの総投資額は129億8800万元(約2680億円)に上り、その20%に相当する25億9800万元(約536億円)を潤時海上風電が拠出、残りは銀行借り入れで賄う予定だ。

電池工場に「クリーン電力」供給

財新記者の取材に応じたCATLに近い関係者によれば、この洋上風力発電所を建設する目的は、寧徳市の電池工場群に「クリーンエネルギー」を供給することにある。

寧徳市は、CATLを頂点とするリチウムイオン電池関連産業の中国有数の集積地だ。地元紙の閩東日報の報道によれば、すでに稼働中の工場と現在建設中の工場を合わせた寧徳市の電池生産能力は年間330GWh(ギガワット時)を超えるという。

(訳注:CATLは二酸化炭素[CO2]を排出しない風力発電の電力を電池の製造に用いることで、EU[欧州連合]などが強化するCO2排出規制をクリアする狙いがあると見られている)

中国では「CO2排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを目指す」という(習近平国家主席が2020年9月に打ち出した)国家目標の達成に向け、風力発電所の建設が急増している。

国家能源局のデータによれば、2023年に中国国内で新設された風力発電装置の設備容量は7500万kW(キロワット)を超え、同年末時点の(既存設備を含む)総設備容量は約4億4000万kWに達した。

福建省は、中国のなかでも洋上風力資源に恵まれた地域の1つだ。中国本土と台湾の間の海峡を通り抜ける風が、地形の影響を受けて風力を増すため、沿海部では「レベル7」以上の強風が吹く日が年間100日を超える。

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