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「話がつまらない人」は説明の"型"を知らない 「ウケ狙いしているのがイタい」と思われないために

東洋経済オンライン / 2024年2月20日 16時0分

通常、予備校講師は1年契約。人気が出なければ仕事が減らされます。最悪の場合、クビです。人気講師になるためには、生徒が面白がる話をしなければならないことはわかっていました。

私は、教育への情熱や、“化学”という教科に対する思い入れが人一倍強く、新卒で駿台予備学校という大学受験専門の予備校に就職。“説明”を本業とする講師として登壇することになったものの、それが悲劇の始まりでした。同僚の予備校講師陣は、びっくりするほど話術に長けていて、話や説明が本当にわかりやすくて面白い。そして、なぜだか、私の同期はイケメンぞろい……。

生徒から「時間を返してほしい」

情熱だけの私は、空回り。器用に「笑い」をとれる人間ではなかったのですが、がむしゃらに「笑い」や「ジョーク」をものにしようと努めたこともありました。ところが、生徒の授業アンケートでは、「つまらない」「ウケ狙いしてるのがイタ過ぎ」「もっと真面目に授業してほしい」と散々でした。「時間を返してほしい」というコメントすらありました。このままでは、職を失ってしまう……。

もう後がないと思った私は、つまらないプライドをかなぐり捨て、人気講師たちの授業を見学させてもらうことにしました。そこで2つの気づきが得られました。

1つは、笑いがなくても「面白い!」と思えるということでした。人気講師と呼ばれる人たちは、とてつもなく説明が面白いのですが、それは笑いをとったり、ウケを狙ったりというものではありませんでした。むしろ「笑い」なんて1ミリも起きない授業すらありました。

ただ、彼らの話にはいつの間にか惹きつけられてしまうのです。いわゆる「目から鱗!」「感動しました!」といった、多くの気づきを与えてくれました。授業見学をしている私は、面白い話や説明とは、聞き手をいつの間にか虜にしてしまうものだと知りました。

そして、もう1つの重要な気づきは、そのような話や説明には、パターン化できる「型」のようなものが潜んでいること。例えば、若手ナンバーワンの世界史講師は講義の冒頭で、こんな話をします。

「なぜ、四大文明が発祥したか、わかる? それはね、大きな河があったから。そもそも、人の体のおよそ60%が水でできてるでしょ。だから、つねに水分を補給できる河の畔で生活するのが人間にとってベストだよね。それに、農作物を育てるにも水分が必要。モノを運搬するには水路が便利。だから、大きな河の流域で文明が発達しやすいんだ」

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