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中国の地方政府「債務規模が急膨張」に漂う不安 2023年末の地方債の発行残高が840兆円超え

東洋経済オンライン / 2024年2月20日 18時0分

中国の不動産不況が長期化するなか、地方政府が抱える莫大な債務は中国経済の先行きの不確実性を高めている(写真はイメージ)

中国の地方政府の債務規模が急膨張している。地方政府が発行する地方債の残高は2023年末時点で40兆元(約825兆4520億円)を突破し、年間の支払利息が1兆2000億元(約24兆7636億円)を超えたことが、中国財政省(日本の財務省に相当)の最新統計から明らかになった。

【写真】地方政府は傘下の「融資平台」を通じて借り入れた資金を地元のインフラ整備につぎ込んできた(国務院国有資産監督管理委員会のウェブサイトより)

財政省は1月30日、地方債の発行状況と債務残高に関する2023年12月分の報告書を公表。それによれば、同年末時点の地方債の発行残高は総額40兆7373億元(約840兆6671億円)に上った。

地方債の種類別の内訳は、(地方政府の日常的な公共サービスに充当する)一般債務が15兆8688億元(約327兆4733億円)、(インフラ建設などの特定用途に充てる)特別債務が24兆8685億元(513兆1938億円)となっている。

利払い額が前年比9.6%増

2023年に限って見ると、同年に新規発行された地方債の総額は4兆6571億元(約96兆1053億円)。そのうち一般債務が7016億元(約14兆4784億円)、特別債務が3兆9555億元(約81兆6269億円)だった。

債務規模の拡大とともに、支払利息も増加の一途をたどっている。財政省のデータによれば、2023年の地方債の利払い総額は1兆2288億元(約25兆3579億円)。財新記者が過去のデータに照らしたところ、この額は(比較可能な)2015年以降で最大であり、2022年より9.6%増加した。

現行の政策上のルールでは、地方債の元本の償還は「再融資債」の発行による借り換えで賄うことができるが、利払いに関しては地方政府の(税収や土地払い下げ収入などの)財政資金を充てなければならない。言い換えれば、地方債の利払いは地方政府にとって先送りできない負担だ。

財政省のデータによれば、2023年に期限を迎えた地方債の元本償還額は3兆6658億元(約75兆6485億円)。その約9割の3兆2918億元(約67兆9306億円)は借り換えを通じて返済され、残りの3740億元(約7兆7180億円)は財政資金から充当された。

ただし留意すべきなのは、上述の数字は地方債のみのデータであり、地方政府のいわゆる「隠れ債務」は含まれていないことだ。

「特殊再融資債」の継続に注目

北京の中央政府は2023年7月、地方政府の隠れ債務削減を後押しするため、「特殊再融資債」を発行して原資に充てることを認めた。中国の市場関係者の間では、この措置が2024年も継続されるかどうかに注目が集まっている。

特殊再融資債の発行余地は、地方政府ごとに定められた地方債の発行上限額から、実際の発行残高を引いた額となる。財政省のデータに基づき試算すると、2023年末時点の発行余地は1兆4301億元(約29兆5120億円)だった。

(訳注:中国の地方政府は傘下に「融資平台」と呼ばれる投資会社を持つ。融資平台の債務には地方政府の暗黙の保証が与えられており、公式統計に表れない「隠れ債務」と呼ばれている。IMF[国際通貨基金]は、その総額を2023年時点で66兆元[約1362兆円]と推計する)

(財新記者:程思煒)
※原文の配信は1月30日

財新 Biz&Tech

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