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ついにトンネル抜けた?楽天の未来占う3つの焦点 連続赤字でも株価急騰、モバイルは黒字間近か

東洋経済オンライン / 2024年2月21日 7時0分

ただ、目標達成に向けては課題もある。個人ユーザーの開拓だ。

足元の契約数の伸びを牽引しているのは、楽天が2023年1月からサービス提供を始めた法人向けが中心とみられる。実際、決算資料では「B2Bは(中略)年末にかけてパイプラインの獲得が大幅に進み、第4四半期の契約回線数が顕著に増加」と記されている。

料金の割安感を訴求し、従来取引のある約90万社の顧客基盤を中心に新規獲得を続けているもようだが、楽天の取引先は従業員数の少ない中小企業が大半を占める。競合キャリアが先行して長らくサービスを提供している領域でもあり、この1年の勢いを持続したまま乗り換えを促す難易度は高いだろう。

さらに言えば、業務用の法人向け携帯の契約数は、国内市場全体の1~2割程度とされる。法人頼みのままでは、早晩伸びが鈍化しかねない。

昨年末に法人向けの契約が急増したことで、ユーザーの単価にも影響が出ている。2023年9~12月期の平均単価は1986円と、前の四半期比で3%低下した。個人向けより単価が低い傾向にある法人向けの比率が高まったことが響いたようだ。

先述の通り、契約数800万~1000万での黒字化の前提条件として、会社側はユーザー単価を2500~3000円と設定している。現状比で2割以上引き上げる必要がある。

こうした背景から、楽天は個人向けの開拓に向けた施策を相次いで打ち出してきた。

2月1日から、モバイルユーザーが別の人を紹介した場合、楽天ポイントを1人につき7000ポイント還元するなどのキャンペーン施策を開始。2月21日からは家族で契約した場合、ユーザー1人当たり100円割引を受けられる家族割プランの提供を始める。

楽天の三木谷浩史会長兼社長は2月14日の決算会見で、「(単価を引き上げるために)追加の施策が必要だ。とくに(楽天モバイルユーザー向けのアプリ内に掲載する)広告収入が増えていくだろう」と展望を語った。

データトラフィックが多く、高単価な個人向けを拡大できれば、収益力向上にもつながる。今後登場してくる追加施策の具体的中身に注目したい。

モバイルへの設備投資は大幅減を見込む

楽天の未来を占う第2の指標は、赤字の元凶となってきたモバイルへの設備投資の額だ。

2024年12月期の計画は約1000億円と、前期の1776億円から4割減を見込む。年間数千億円を投じてきた2~3年前と比べると、山は越えたといえる。

楽天はモバイル事業の参入当初、約6000億円で全国に4G用の基地局網を整備できると見込んでいた。しかし必要となる基地局数の見通しが甘かったことなどから、結果的に累計の設備投資額は1兆円を超える規模にまで膨らんだ。

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