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マツキヨや佐川も導入「謎の軽バン」ASFの正体 日本の企業が中国で作る「ファブレス」の果実

東洋経済オンライン / 2024年2月23日 11時50分

これまでの軽ワンボックスには見られないデザインテイストも特徴(写真:ASF)

日本初といわれるEVベンチャーの製品が、路上を走り出している。ジャパンモビリティショー2023への出展でも話題を呼んだ、ASF社(本社・東京都千代田区)の「ASF2.0」だ。

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興味深いのは、そのプロダクトのありかた。実に現実主義的なアプローチで、製品が生み出されている。「作ってから市場を探す」のでなく、「市場ありき」で企画・開発・製造されているのだ。

ASF2.0の成り立ちを簡単に言うと、バッテリーで走る軽ワンボックス。日本で企画され、価格優位性などを重視して中国で生産される“ガイシャ”である。

おもしろいのは、製品誕生にいたる物語がちゃんと存在していること。

飯塚裕泰代表取締役社長は、ヤマダデンキ(当時はヤマダ電機)出身。ヤマダデンキは当時からBEV(バッテリー駆動のEV)を「21世紀の新しい家電」として、ビジネスのひとつの柱に据える計画をあたためていた。

実際に三菱自動車との協業が進み、現在はヤマダデンキの法人営業部が三菱自のBEVを取り扱って、販売から充電設備設置、車両メインテナンスなど「EVのワンストップサービス」(ヤマダデンキのプレスリリース)を目指している。

そこにいたる中で飯塚氏はBEV開発の道を探り、その将来性ゆえ、自らベンチャーを立ち上げることにしたのだという。ASF社は2020年に設立され、(そこからものすごく話を端折ると)2023年に今回のプロダクトが世に出たのだった。

開発や生産は中国の五菱(ウーリン)

ASF社は、いわゆるファブレスメーカー(自社で生産設備を持たない企業)だ。ASF2.0の開発から生産まで担当するのは、中国の五菱(Wuling=ウーリン)。もう少し厳密に言うと、上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling Automobile)だ。

五菱は、1980年代に三菱自の軽商用車をノックダウン生産していた会社なので、ASF社の経営陣とは気心の知れた関係なのかもしれない。

そのASF2.0、私はほとんど予備知識なしで試乗した。全長3395mm×全幅1475mm×全高1950mmの外寸は、たとえば三菱「ミニキャブ バン」と比較すると全長と全幅は同一で、全高が55mm高い。どこから見ても、街中で見かける軽ワンボックス(黄色いナンバープレートだし)。

ただ、グリル開口部を(あえて?)小さく見せるなど、デザイン的には手が入っている。充電ソケット用のリッドがあるのもフロントだし、LEDを使った灯火類なども、そう意識してみればEV的というべきか、新しさを感じさせる意匠といえる。

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