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ANAとJAL、「航空チケット値上げ」で決算に異変 ANA優位はいつまで続くか?カギ握る2つの戦略

東洋経済オンライン / 2024年2月23日 7時30分

長年、業界の常識だった「売上高のANA、利益のJAL」の構図が変わろうとしている(撮影:尾形文繫)

コロナ禍を経て、航空業界の構図が変わりつつある。

【グラフ】6年間でこんなに上がった「国際線チケット価格」の推移

経営破綻以降、収益性を重視する経営方針を取ってきた日本航空(JAL)に対し、ANAホールディングス(HD)は国際線を拡充し、売上高を積極的に伸ばしてきた。航空業界では「売上高のANA、利益のJAL」が常識だったが、直近ではANAが営業利益でJALを逆転。売上高、利益ともにANAが上に立っている。

エアライン大手2社の決算に異変

「通期計画は営業利益と経常利益は過去最高、純利益は過去2番目となる見通しだ」。ANAHDの中堀公博上席執行役員は1月末に国土交通省で開催された決算会見の場でそう答えた。同社は2023年度の業績は売上高2兆300億円、営業利益1900億円を見込んでいる。

ANAHDは第3四半期(4~12月期)決算で、売上高1兆5435億円、営業利益2101億円と営業利益は過去最高を更新した。一方で、JALは売上高1兆2493億円、営業利益1259億円と売上高、営業利益ともにANAHDから劣後する結果となった。一体、航空業界では何が起きているのだろうか。

両社の差を分けているとみられるのが、国際線の単価上昇だ。

航空チケットが高すぎて、海外旅行に行けない。新型コロナによる水際対策が緩和された後、航空チケットの価格を調べてこう思った読者も少なくないだろう。

実際、国際線のチケット単価は2020年以降、高騰している。ANAHDの2023年4~12月の航空券のチケット平均単価は10万3864円、JALも同9万5218円となっている。

両社のコロナ前の平均単価は5万〜6万円台だった。コロナ前後で7割程度上昇しているのだ。コロナ前と比較して、日本人の出国者数が減ったため、旅客数は減少しているが、単価が上昇しており、国際線の売り上げ規模は拡大している。

いつまでANA優位の状態が続くか?

国際線の売り上げ規模で見ると、ANAHDが5515億円であるのに対し、JALは4717億円と15%程度劣後している。JALの斎藤祐二取締役専務は決算会見で「国際線の規模の差が(ANAHDとの)利益差となっている」と述べた。

ではいつまでANA優位の状態が続くのだろうか。2024年度に目を向けるとカギを握る要素が2つある。

1つ目はやはり、国際線のチケット単価である。

「2024年の上期くらいまでは現在の航空券単価の水準に大きな変化はないと思う」。ANAHDの芝田浩二社長は、昨年11月に行った東洋経済のインタビューでこのように見通しを語っている。

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