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「肝臓に脂肪をためない」お酒のつまみ"神セブン" 飲酒と脂肪肝の「罪深い関係」を専門医が解説

東洋経済オンライン / 2024年2月25日 7時30分

AST<ALTは脂肪肝の疑い

脂肪肝は自覚症状のないまま進行するが、脂肪肝が進行した脂肪肝炎、さらに肝硬変でも、より重症化するまで自覚症状はほとんど出ない。肝臓がまさに“沈黙の臓器”といわれるゆえんだ。

肝臓に脂肪が蓄積すると肝臓の炎症が進む。炎症と修復が繰り返され、線維化が進んで、やわらかかった肝臓は硬く、ゴツゴツとした石のようになっていく。肝硬変は線維化が進むほど発がんリスクも高くなる。

「ただし、線維化も初期の段階であれば、肝臓をもとの正常な状態に回復させることが可能です。なるべく早い段階、できれば脂肪肝のうちに発見して改善することが大切です」(尾形さん)

脂肪肝は肥満の人だけがなるとはかぎらない。

日本人は遺伝的に“やせの脂肪肝”が多く、肥満体ではないからと安心はできないのだ。脂肪肝の人の約3割はBMI※25以下で、肥満体ではない“かくれ脂肪肝”だという。遺伝的素因を持つ人、または筋肉量の少ない人、高齢者などに多く見られる。

※BMI(ボディ・マス・インデックス:体重を身長の2乗で割った指数。標準値は22)

脂肪肝は、腹部超音波検査(腹部エコー検査)やCT、MRIなどの画像検査で診断できるが、画像検査のような特別な検査を受けずに簡単に脂肪肝を見つける方法がある。

血液検査の肝機能検査値で、「ALTの数値がASTよりも高い」場合は、脂肪肝の疑いがあるという。

では、脂肪肝をそのまま放置するとどうなるのだろうか。

まず、脂肪肝炎、肝硬変、肝がんといった重篤な肝障害を引き起こすリスクが高まる。

さらに脂肪肝は、肥満や食後高血糖、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病発病の上流にある病気だ。放置すれば、次々とドミノが倒れるように負の連鎖が進み、最終的には、心不全や腎不全などの命にかかわるような病気に連鎖していく。

脂肪肝は糖尿病の「前触れ」?

特に糖尿病は脂肪肝を経て発症するといわれている。

「脂肪肝はあらゆる生活習慣病のもとになる病気です。お酒をほどほどの量で楽しむことができれば、脂肪肝や肝硬変になりにくく、糖尿病などの生活習慣病のリスクも低くなります」(尾形さん)

楽しくお酒を飲む時間は、豊かな人生には欠かせない時間ともいえる。お酒と上手に付き合って、防げるリスクは回避していきたいところだ。

(取材・文/石川美香子)

長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医
尾形 哲 医師

1995年、神戸大学医学部医学科卒業、 2003年、医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。「スマート外来」は脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。『肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)はオーディブル版も発売中。

東洋経済オンライン医療取材チーム:記者・ライター

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