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「第2青函トンネル」議論はどこまで進んでいるか 津軽海峡にもう1本、貨物と新幹線が別々に走る

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 6時30分

ゼネコンを中心とした民間から提案される抜本策

それに対して、もう1本の青函トンネルを掘り新幹線と貨物列車の走行路を完全に分ける抜本的なプランが民間で構想され、提案されている。その一つを手掛けるのが日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)だ。JAPICはゼネコンを中心に現在は200社以上で構成される一般社団法人で、政官学や経済界・産業界、マスコミが同法人の場を通して議論し、政府に具体的なプロジェクトを提言してゆく。1983年に発足し、東京湾横断道路(現東京湾アクアライン)の整備を皮切りに、関空やつくばエクスプレスもJAPICから民間の声として上げて実現させている。

元来、国家的に資する大規模プロジェクトは三全総、四全総などの中で国が自ら立案してきた。しかし経済の停滞と財政の逼迫、国民・マスコミの大規模施設に対する視線の変化から、国が積極的に動かなくなった。だが、その姿勢により日本の経済的地位は下がり、その一方で激甚災害などは増加し、よりしっかりしたインフラが求められる時代となった。施設は必ず老朽化する。日本の人口は減る。だからこそ今のうちに手を打っておかないと、衰退に拍車がかかり、困るものも多い。そこで民間から将来の国土造りのインフラを提言する組織だと言う。三本柱に防災・減災・国土強靭化に関係するもの、国内立地で国際競争力を強化するもの、地域活性化に資するものを挙げ、額で言えば1兆円前後のプロジェクトを考える。

重点プロジェクトとして現在、全国に12の構想を描いている。その一つが「津軽海峡トンネルプロジェクト」、すなわち第2青函トンネルで、JAPIC案は現ルートに並行して竜飛ー福島間に内径15mのトンネルを建設し、その上段に上下1車線ずつの自動運転自動車専用道路(乗用車も自動運転を想定)、下段に単線の貨物列車専用の線路と、その両脇に避難通路兼緊急車両の走行路を設ける。車道を自動運転に限定するのも、鉄道を単線とするのも小断面として建設費を抑えるためで、海底区間へのアプローチは現トンネルより短く、海底下の土被りも浅い位置で考える。

もちろん、JAPIC案がそのまま採用されることはないにしても、絵空事では意味をなさないので、20~30年後の技術を想定しながら、プロジェクトごとに10名前後の専任チームを編成して実現可能なまでに詰めた精度で、設計のみならず、工程から事業方式、詳細な収支見通しに至るまで立案されている。建設期間は15年で、事業費は概算7200億円と見積もる。

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