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ナイキ、スニーカーブームで「株価10倍超」の背景 生産数が増えた現在でも、企業価値は高いまま

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 11時30分

それは、欲しい人たちがスニーカーを手に入れられるようにしてきたメーカーの努力のおかげでもあり、利潤を追い求める資本主義社会における宿命でもあります。

ただし、スニーカー業界においては生産数が増えれば増えるほど、消費者は熱狂しなくなるというジレンマを抱えています。事実、生産数が急速に増えていき、抽選に参加すれば当選するケースが増えていった2020年頃からは、消費者も「実は誰でも買えるんじゃないか」と薄々気づきはじめ、熱が冷めつつあったように思います。

逆に言えば「レアだから欲しい」「ブームが盛り上がるにつれて生産量が増えた」という事実を理解していれば、スニーカーブームが終わった現在においても、これからプレ値が付くであろうモデルの予測ができます。

それはブーム初期の生産量が少ないモデルです。特に熱狂が冷めた今となっては転売のために保管していたスニーカーが安く売り出されていきます。そうなると普段履きとして消費されて、どんどんと数が少なくなっていく。

ただしブーム後半の頃に高額で購入したモデルは損切りできずに死蔵されるうえに生産数自体が多いため、なかなか値が上がりにくく、加水分解するまでの間に持ち直す可能性は低いでしょう。

しかし、初期の頃であれば生産量が少ないため、これから何年か経ったあとにふたたびプレ値がつく可能性がある、と言えるでしょう。

具体的には2017年以前のモデルならば、まだ生産数がそれほど多くないこともあって、これから履き潰されていったときにハイプする可能性があります。あるいは発売当時は不人気で定価割れしていたようなモデルも今後は履かれてなくなってしまうため、将来的に脚光を浴びる可能性があるでしょう。

スニーカー投資から読み解く国際経済

マクロ経済的な視点から現在のスニーカーブームを眺めると、2008年のリーマンショック以降の世界的な金融緩和の流れが大きく影響しています。

金融緩和によって金利が下がって市場に大量の貨幣が流通するようになると、人々は投資対象を探すようになるものです。そして、貨幣価値が下がってモノやサービスの価格が上がるインフレが引き起こされます。つまり1万円のスニーカーが来年は1万2000円で販売される、という状況が起こるのがインフレです。

経済がインフレ基調になれば「値段が高くなる前に買っておこう」という購買行動も起きやすくなりますし「お金の価値が下がってモノの価値が上がるので、手持ちの資金をモノや不動産、株式に替えておこう」というニーズも生まれます。

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